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: その他の関係するキーワード : WCS の基本コンセプト (WCS Paper : WCS での基本的な変換手順   目次

変換行列

上記のステップ2の変換行列には PCi_jCDi_j の2つのキーワードのどちらかが使われる。 これは WCS の Paper をまとめる過程で、CDELTi とキーワードPCで表される PC行列で記述する案に対して、HST と IRAF ではキーワードCDで表される CD行列が既に使われていたことから、両方を併記することになったのである。

PCi_j 形式では、変換行列の要素 $ m_{ij}$ はヘッダーの PCi_j (浮動小数) で表され、$ s_i$CDELTi で表される。 $ i$$ j$ は 1から始まり(例えば PC1_1とかCDELT1)、デフォルトの PCi_j の値は $ i = j$ に対して 1.0 それ以外は 0.0 である。 PCi_j 行列は正則行列で逆行列を持たなければならず、CDELTi は 0であってはならない。

$\displaystyle \left ( \begin{array}{c} q_1 \\ q_2 \\ q_3 \\ \vdots \end{array} ...
...in{array}{c} p_1 - r_1 \\ p_2 - r_2 \\ p_3 - r_3 \\ \vdots \end{array} \right )$    

中間世界座標の $ x_i$ は前述のとおり $ x_i = s_i q_i = \texttt{CDELT}i q_i$ で計算される。

一方、CDi_j 形式では、式 ([*]) と ([*]) は一緒になって、

$\displaystyle x_i = \sum^n_{j=1}(s_im_{ij})(p_j - r_j)$ (13)

となり、積 $ s_im_{ij}$CDi_j (浮動小数) で表される。 $ i$$ j$ は 1から始まり(例えば CD1_1)、CDi_j 行列は正則行列で逆行列を持たなければならない。

$\displaystyle \left ( \begin{array}{c} x_1 \\ x_2 \\ x_3 \\ \vdots \end{array} ...
...in{array}{c} p_1 - r_1 \\ p_2 - r_2 \\ p_3 - r_3 \\ \vdots \end{array} \right )$    

古いソフトウェアのために、CDELTiCROTAiCDi_j と共存することが許されるが、新しいソフトウェアではこれらは無視されるべきである。 CDi_jPCi_j のデフォルトの振る舞いは異なり、もし 1枚以上の CDi_j カードが存在すれば、存在しない CDi_j は 0とみなされる。 一方、CDi_j が存在しない場合は、PCi_j カードが存在しなくても、PCi_j 形式が仮定される(これは Wells らによるFITS の原論文(4.1 の FITS Paper I)のCDELTi の解釈と一致する)。 PCi_jCDi_j の混在は禁止される。 このため、CDi_j 形式と PCi_j 形式の変換は単純にキーワードの置き換えで行われ、CDi_jPCi_j と同値で CDELTi は 1と見なされ、逆の場合は PCi_jCDELTi から CDi_j が計算される。





平成22年2月17日