城山周遊道の植生(維管束植物群集)を簡便な方法で調査し、地形条件との関係を考察します。
出現種×区間の表を作る
種 \区間 | 生活型 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | … | 出現区間数 |
種1 (××科) | 常緑樹 | 1 | 0 | 1 | 1 | … | … | … | … | 25 |
種2 (××科) | 常緑樹 | 1 | 1 | 1 | 0 | … | … | … | … | 20 |
種3 (××科) | 草本 | 1 | 0 | 1 | 0 | … | … | … | … | 12 |
種4 (××科) | 常緑樹 | 0 | 1 | 1 | 1 | … | … | … | … | 8 |
種5 (××科) | シダ | 0 | 1 | 0 | 1 | … | … | … | … | 5 |
種6 (××科) | 落葉樹 | 0 | 0 | 1 | 1 | … | … | … | … | 10 |
種7 (××科) | 落葉樹 | 0 | 0 | 0 | 1 | … | … | … | … | 3 |
種8 (××科) | 常緑樹 | 0 | 0 | 0 | 1 | … | … | … | … | 17 |
種数 | 3 | 3 | 5 | 6 | ||||||
新規出現種数 | 3 | 2 | 1 | 2 | ||||||
累積種数 | 3 | 5 | 6 | 8 |
種の同定ミスのチェックや、注目すべき種の選定のために、調査結果と既存の植物相に関する文献を照らし合わせる。今回の調査範囲に関しては、次の3つの文献を参照する。
出現頻度の分布をつくる。
左の例は、ある河川の植物相調査(調査区数は13)の結果から作られた頻度分布の例だ。多くの場合、頻度分布は右に行くほど少なくなる。減り方の度合いは、植物相の変化が激しいところほど大きいのがふつうだ。
また、下は、同じデータで、出現頻度1(赤)・出現頻度2(緑)・出現頻度3(青)の種が見られる数を各調査区ごとに示したものだ。全体の種の多様性に最も貢献しているのは13区、ついで14区と8区だ。
上のデータから、(1)区間と種数の関係、(2)区間と累積種数の関係、を表わすグラフを作ることができる。
(1)は、各区間の種多様性をすなおに表わす。(2)は、「面積―種数曲線」と似たような意味を持ち、植物相が比較的一様な場合は最初は急に上がって徐々に飽和する曲線となる。植物相に大きな変化があって新規出現種が多い区間では曲線の傾きが急になる。
種 \区間 | 3 | 4 | 3×4 |
種1 (××科) | 1 | 1 | 1 |
種2 (××科) | 1 | 0 | 0 |
種3 (××科) | 1 | 0 | 0 |
種4 (××科) | 1 | 1 | 1 |
種5 (××科) | 0 | 1 | 0 |
種6 (××科) | 1 | 1 | 1 |
種7 (××科) | 0 | 1 | 0 |
種8 (××科) | 0 | 1 | 0 |
種数 | 5 | 6 | |
新規出現種数 | 1 | 2 | |
累積種数 | 6 | 8 |
「2つの区間の出現種が互いにどれくらい似ているか」を表わす指数を「類似度」と呼ぶ。いちばん単純な方法では、個々の種を同格と考えて、区間AとBについて、類似度を次のようにして求める。
類似度(1)=(AとBに共通する種の数)×2/(Aの種数+Bの種数)
あるいは
類似度(2)=(AとBに共通する種の数)×(AとBの両方とも出現しない種の数)/(全種数)
(全種数)=(AとBに共通する種の数)+(AとBの両方とも出現しない種の数)+(Aに出現し、Bに出現しない種の数)+(Bに出現し、Aに出現しない種の数)
表計算ソフトでは、右のように、2つの区間の0/1データを掛け合わせた列を作ると、その総和が共通種数となる。この例では、区間3と4との類似度(1)は[3×2/(5+6)]で0.55、類似度(2)は[(3+0)/8]で0.375となる。
1 | 2 | 3 | 4 | |
1 | 1 | 0.50 | 0.68 | 0.13 |
2 | 0.33 | 1 | 0.50 | 0.38 |
3 | 0.75 | 0.25 | 1 | 0.38 |
4 | 0.22 | 0.44 | 0.55 | 1 |
同様にして他の組み合わせを計算すると、右のような「類似度行列」ができる(左下半分が類似度(1)、右下半分が類似度(2))。
「区間」と「種」を入れ替えると、同じようにして、「各区間への出現の有無に基づいた種どうしの類似度」を求めることができる。ただし、あまり出現率が低い種では、類似度は当てにならない。
類似度が大きい区間どうし(または種どうし)が先に結びつくようにして、各区間を樹状図に表わしたものがクラスター図だ。クラスター図は、頑張って表計算ソフトで作れないこともないが、時間が掛かるため、ソフトを使った方がよい。
下は、上の例をもとにしたクラスター図だ。類似度の定義や、クラスター図の方式には複数あるため、3通りずつ表わしてある(左から、類似度(1)+群平均法、類似度(2)+群平均法、Ward法)。
区間の類似度に基づくクラスター図