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[実験] ヒイラギモクセイの葉の棘の数の変異

2. 計測と記述統計

●計測

上で挙げた2つの組み合わせについて、棘の数の比較を行なう。同じ条件の葉でも、棘の数にはばらつきがあるため、それぞれの条件について40枚以上の葉の棘数を数えて判断する。

比較するときには、それ以外の特徴が揃っている必要がある。例えば、先端葉と基部葉とを比較するときには、枝での位置については揃っている必要がある。つまり、お互いがもう一方の対照実験となるようにする。

以上のことを考えると、次のように葉を選んで、それぞれ40枚以上の棘の数を数えることが必要だ(合計120枚以上)。サンプル数が多いほど微小な差も検出でき、数が少なければよほどはっきりした違いでないと検出できない。このことと調査の労力を考え合わせてサンプル数は決定される。ここでの40という数は厳密なルールに基づいて選んだものではないが、まずまずの数である。サンプル数が40を越えていても構わない(40を下回るのは不可)。


位置 ついている高さ サンプル数
A群 基部 地上0.8〜1.2m 40
B群 先端 40
C群 地上1.8〜2.2m 40

・A群とB群とでは、同じ枝の先端葉と基部葉とを測る

ヒイラギモクセイ

木についている葉の棘を数える。そのとき、注意すべきことは次の2点である

  1. 葉を選ぶときに偏った選び方をしない。このため、まず、ある領域を決め、含まれる葉のうち上の条件に合うものはもれなく数えるようにする(本来はもっと面倒な手続きで偏りを避ける[無作為化]をするが、ここでは省略)。
  2. 同じ葉を重複して数えないように、数え終わった葉にはチョークで印を付ける。


虫による食害の程度を評価するために、棘の数を数えると同時に食害度を判定する。
食害度 判定基準
0 食べあとがない
1 食べあとがあり、葉の総面積の1/8未満
2 食べあとがあり、葉の総面積の1/8以上・1/4未満
3 食べあとがあり、葉の総面積の1/4以上・1/2未満
4 食べあとがあり、葉の総面積の1/2以上


データ用シート
A群 B群 C群
基部 先端 先端
地上0.9〜1.1m 地上0.9〜1.1m 地上1.9〜2.1m
棘の数 食害度 棘の数 食害度 棘の数 食害度






以下省略(同じような空欄が50くらい続く)

●記述統計(1): 平均と標準偏差

ここから先は、パソコン教室のパソコンに入っているMicrosoftExcelを使う。Excelの操作については、情報機器操作入門授業資料[http://ww1.fukuoka-edu.ac.jp/~fukuhara/joho/index.html]、特に表計算ソフト(6)[http://ww1.fukuoka-edu.ac.jp/~fukuhara/joho/msexcel6.html]表計算ソフト(7)[http://ww1.fukuoka-edu.ac.jp/~fukuhara/joho/msexcel7.html]を参照する。

「記述統計」とは、大量の数値データをなるべく必要な情報を減らさないように少数の数値データにまとめることを指す。

生物から実験や観察・計測によって得られたデータには、ばらつきが出ることが多い。このようなことになるのは、(1) 生物現象では複雑な多数の要因が関わっていて、それらの要因の全ての影響を一定にする(コントロールする)ことができないためで、また、(2) 生物現象の中に多数の偶然的なプロセスが入り込んでいるためである。

このようなばらつきのあるデータを表現したり、互いに比較するには、平均値標準偏差などを使った統計的記述が使われることが多い。平均値は代表値(データ全体を1つの値で示すときに使われる値)の1つであり、標準偏差はばらつき(データの散らばりの程度)を示す目安の1つだ。

ここでは、
  1. データ用シートを作り、空欄に棘の数を入力する。
  2. 各群のそれぞれについて、平均値・標準偏差を求め、計測数・平均値・標準偏差を含んだ表を作成する。

データのまとめ用の表

位置 ついている高さ サンプル数 棘数:平均 標準偏差
A群 基部 地上0.9〜1.1m 40

B群 先端 地上0.9〜1.1m 40

C群 先端 地上1.9〜2.1m 40



度数分布・t検定の作業は、下のリンクを「右クリック→対象をファイルに保存」してダウンロードできるExcelのファイルを見本にすると良い。

hiiragiM-example1.xls

●記述統計(2): 棘の数の度数分布

  1. 各群のそれぞれについて、棘の数の度数分布を作る。
  2. 度数分布のグラフを描く。
  3. 各作業仮説についてグラフ化する。例えば、「葉の高さ」の棒グラフだと、「高さ1mの葉の棘の数」の平均を表わす棒と「高さ2mの葉の棘の数」の平均を表わす棒を描く。標準偏差は棒に細線を付けることで表わす。だから、2つの棒を含むグラフが2つできる。

●記述統計(2): 食害度の分布

  1. 下のような表を作る。
    棘の数 各食害度ごとの葉数
    0 1 2 3 4
    0〜3




    4〜7




    8〜11




    12〜15




    16〜





  2. 棘の数(0〜3・4〜8・・・)を横軸とした積み重ね棒グラフを作る。


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