福岡教育大学坪内研究室



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福岡教育大学国際共生教育コース・坪内研究室のサイトです。



にほんご多読セミナーin福岡 

2013年3月23日、盛況のうちに終了!

多くの参加者の皆様の日本語教育、日本語学習への
意識の高さがうかがえる、熱のこもったセミナーとなりました。
この機会を次の発展へとつなげていければと考えております。
どうもありがとうございました。
引き続き、ご意見やご質問等ありましたら、
こちらの研究室(sachiyo☆fukuoka-edu.ac.jpの☆を@に換えてください)宛か、
ご講演いただいたNPO多言語多読のサイト宛にどうぞお気軽にお寄せください。


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「多読」については、こちらへ




 2012年10月、九州大学でお世話になった関西学院大学の陣内正敬先生の訃報が届きました。まだお若く、あまりに突然のことで言葉もありません。
 11月初旬、所用で関西を訪れた折に不躾ながら三田市のお宅にお邪魔し、ご挨拶させていただきました。まだ悲しみが癒える間もないほどの時期であるにもかかわらず奥様には明るくご対応いただいただけでなく、お亡くなりになった直後の出版となった『外来語研究の新展開』(おうふう、2012年)と、近しい方々に渡すために思い出を綴った文章を編集、出版されたという『思い出の記』と題する冊子までいただき、ただただ恐縮いたしました。
 何よりも、先生のご闘病のご様子をいろいろとお話しくださるのはお辛いことであったに違いないことですが、明るくお伝えくださる奥様の笑顔と、そのお話の中から浮かび上がる先生のご様子、それから、『思い出の記』の中の先生ご自身の文章からは、何か、動かせない悲しみを超えた穏やかさのようなものが感じられ、心の照準をその時その時の「今」に合わせて、瞬間、瞬間を感謝に満たされて過ごそうとする意識がいかに時間を充実させてゆくかという事実を、思い知らされた気がしました。また、そのような心を持てばきっと誰もが「今」に生きてゆけるのだというお手本まで見せていただけたようで、たいへん暖かなものを、やりきれなさにも増して感じることができました。
 もちろん、他人に細々とした事情を語っても何も始まらないと達観されたお二人のお言葉の選び方ゆえというところもあろうかとは思いますが、あるいは、すべての事実やその記憶というものは、そのような意識の持ち方や伝え方、表し方によって、むしろ真の大切な部分だけを残す美しいものになってゆけるものなのかもしれません。
 陣内先生には、授業で教えを受けただけでなく、様々に公の場で文章を書かせていただく機会も与えていただきました。先生は、教員として九州大学に10年ほど籍を置かれたあと、関西学院大学へと籍を移されましたが、異動が決まった後でお話しさせていただいた時に、同じような人間ばかりが同じところに留まっておくのは、長い目で見た時には、そこにいる者自身にとってもその環境自体にとっても良いことではない、人が動き、滞りを無くして風穴を開けていかねばならない、というようなことをお聞きしたことがありました。今回うかがった際の奥様のお話でも、常に下の世代のことまで考えながら、大きなタイムスパンでご自分のこれからと今後の進み方を考えていらしたということでした。改めて、大きな先生であったと実感します。
 私が学生時代にくぐって来た大学の環境は、全くと言ってよいほど良い印象のものはありませんでしたが、今思えば、非常にリベラルにものごとを受け入れ、見渡す先生に、優しく接していただき、教えを受けることができていたのでした。過去を否定せずに済むよう、取り返しの利くうちに、振り返る機会を与えられたような思いです。
 あらためて、先生のご冥福をお祈りいたします。陣内先生、ありがとうございました。

                                   2012年11月24日