日本では近年AT(オートマティックトランスミッション)だけしか設定のない車種が増えていてMT(マニュアルトランスミッション)の車を選ぼうとすると苦労する状況になっています。このあたりについて、fj.rec.auto に投稿した記事などを元に雑文を書いてみました。 (メモがわりに書いているので読みにくくてすいません。時間があれば読みやすくします。)

1. 日本での MT車の現状

日本国内ではMTの設定のある車種というのは年々少なくなっているようです。 モデルチェンジをするたびに新しい車種はATだけというのが増えています。 そもそも大排気量のセダンなどは、客層からしてATが多いのは理解できますが、小排気量でMTで小気味よく運転すれば楽しいような車までATだけになっています。 例えばホンダのフィット、シビック(フェリオ除く)、ストリームとか、トヨタのスパシオ、イプサムをはじめプレミオ/アリオンあたりのミドルセダンまで。 (ちょっと例が偏ってますがご容赦を。)

これでは、私のようなMT好きは選ぼうにも選びようがありません。 車を選択する時ATしかない時点で選択対象からはずれるので、どんどん選べる車種が減ってしまっています。 それでも5人乗車まででいいなら、スポーツセダンやワゴン系の車種でMTの設定してあるものがありますが、6〜7人乗りの車を選ぼうとすると全滅と言っていいと思います。

さらにはMTのある車種はメーカーも特殊なスポーツ指向の車ととらえているのか、6MTを設定する場合が多く見受けられます。 ごく普通の5MTでいいから選びたい、という希望はなかなかかなえられません。

2. なぜ MTにこだわるのか?

MTが好き、というのは現在ではかなり少数派なのかもしれません。 私がMTにこだわるのは、自分で操作しているという実感を味わうにはMTが一番と思うからです。 多くの人がシフトチェンジの煩わしさを嫌ってATを選ぶのは理解できますが、以前に乗ったAT車の勝手にシフトチェンジされる感覚にはどうしてもなじめません。 最近のよくできたATならそれほど嫌うことはないのかもしれませんし、マニュアルモードつきで積極的にシフトチェンジできるタイプのATなら操作感はあるのかもしれませんが、わざわざATでそうした操作をするくらいなら、MTを選んだ方がましだと個人的には考えます。

またMTの操作でエンジン回転をあわせながらシフトチェンジがスット決まった時の快感というものもあります。 (これはバイクなどではより感じる点ですが。)

一般にMTの方がトルコンなどの余計なものが入らない分、燃費もよい、というのも精神的にいいと感じています。 (MTだと運転の仕方によっては燃費が悪くなることもあるので場合によりますが。)

AT化が進むのは時代の流れである、という意見は確かにそのとおりだと思います。 しかし、現在のATはまだまだ発展途上であり、ナイト2000クラスの完全自動運転が実現するならともかく中途半端な自動化では、かえって自分でコントロールできる範囲がより残るMTを選びたいです。

電気自動車などが十分に普及したら必然的にAT化が進むと思いますが、この場合もMT的な操作を楽しめる機構を残して欲しいと個人的には思っています。 SFで描かれる未来車にはそうした楽しさを残しているものが見られます。 (例えば、早川文庫JAで出ている(いた?)浅香晶のスーパノバシリーズでは、水素イオンエンジンを搭載したMAZDA RX-XI を主人公が楽しんで運転する場面が出てきます。)

3. MTをもっと設定して欲しい

現状ではMTを選びようにも選べないのでメーカーにはもう少しどうにかして欲しいところです。

最初からATしか設定のない日本専用車種ならしょうがない、とあきらめもしますが、同一車種がヨーロッパではMT設定ありで売られているようなケースでは日本でもMTの設定をして欲しいと思います。

例えば、ホンダのフィット(ヨーロッパではJAZZ)、シビック、ストリームとか、トヨタのイプサム(ヨーロッパではAventis Verso)なんかはこの例にあげられます。

これらの車種はMTがあるという想定で開発されているので日本でMTを設定するからといって余分な開発費がかかるとは思えません。 (イギリス仕様を考えれば同じ右ハンドルですし。)

経費がかかるとすれば、MT設定モデルを増やすことによる手間賃や、関係部品の管理費などでしょうが、これらのコストが問題ならばその分をMTモデルの価格に上乗せして売ってもいいと思います。以前ならMTモデルはATモデルより5〜10万程度価格が安いのがあたりまえでしたが、上記のような事情を考慮して逆にMTモデルの方が5〜10万程度高くてもMTを欲するユーザは買うと思います。 (残念ながら日本ではMTをあえて選ぶというのはそのぐらい覚悟のいる少数派の行動になってしまっているようです。)

あるいは、どうしても国内仕様にMT設定ができないというならば、二輪で日常的にやられているように逆輸入という形でもいいので我々ユーザがMT車を入手できるようにして欲しいと思います。

現状でも並行輸入とかの手を使えば海外モデルのMT車を買えるのかもしれませんが、手間やお金や後のこまごましたサポートを考えると躊躇します。 二輪ではそのへんの「普通の」バイク屋で逆輸入のバイクを買えるし、後の世話もしてもらえるので逆車を買う敷居は低いように思います。 四輪でも二輪なみに、そのへんの「普通の」ディーラーで逆輸入車を買えて、後の面倒も見てもらえるなら、それでもいいとは思います。 (日本メーカーの車をわざわざ逆輸入するということに関しては釈然としないものは感じますが。)

いずれにせよ、どうにかしてMT車もAT車と同様に「普通に」選択肢の1つとして買えるようにして欲しいとメーカーさんには声を大にして要望したいと思います。 (上記のように無理なく設定できる車種については満遍なく。)

2002年5月29日(金光記)