といった具合である。
単純なFITS ファイルの構造は ASCII テキストで書かれたヘッダとバイナリの(通常は多次元の)データ配列からできている。 現在ではこの「基本」 FITS 要素に加えて同じデータ格納構造 (ヘッダ+データ) を持つ拡張された他の FITS 要素が付け加わってもよいことになっている。 模式図で表すと次のようになる。
多くのFITS ファイルは単純な1つのヘッダと1つのデータ配列を持つファイルだが、もっと複雑なデータを詰め込むこともでき、実際、最新の大型観測装置が吐き出すデータにはそのようなものも見られるようになっている。
FITS ファイルの構成をもう少し詳しく見ていくと、
・(基本) FITS 要素 ・(拡張) FITS 要素 1 ・(拡張) FITS 要素 2 ・・・
のように(ヘッダ+データ)のFITS 要素が連なっており、いずれの FITS 要素も整数個の (論理) レコードからなる。論理レコードのサイズは 2880 バイト (23040 ビット=あらゆる計算機のワード長の最小公倍数、第II部参照) である。
1 つの FITS 要素は大きく 2 つの部分に分けられる。
前半部のヘッダはヘッダレコードとも呼ばれ、データの目的、種類、構造、バイト数、レコード数などのデータに関する解説部分となっている。 1 行が 80 文字1からなるカードイメージの連なりで、整数個の論理レコードに収められる (1 レコードには 2880/80=36 行が収まるので、ヘッダが 36 行を越える時は複数個の論理レコードが必要となる。 また、ヘッダが 1 レコードに満たない場合は空白行で埋められちょうど整数個のレコードとされる。) 1 つの行の各欄の使い方や用語には一定の規約がある (次の 1.2 参照)。
後半部のデータ(データ配列)はデータレコードとも呼ばれ、ヘッダレコードの直後のレコードから実際のデータが書きこまれる。
すなわち、1 つの FITS 要素の構造は
・ヘッダレコード | ヘッダ1 (80 バイト・カードイメージ) |
(2880 バイト | ヘッダ2 (80 バイト・カードイメージ) |
× n (整数)) | ヘッダ3 (80 バイト・カードイメージ) |
ヘッダ4 (80 バイト・カードイメージ) | |
・・・ | |
・データレコード | データ(バイナリ or アスキー) |
(2880 バイト | ・ |
× n (整数)) | ・ |
のようになっている。