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NOST による FITS の定義 (FITS スタンダード)

FITS は第1部の4章で述べたように 4 つの基本論文によってその骨格が定まり (基本又は原始 FITS )、1982 年に Random Groups が、1988 年に ASCII Table が各々 IAU により正式に認められた。 また、当初の磁気 1/2 インチ磁気テープ用の定義も拡張され、FITS を論理的構造とみなし、特定メディアの物理的構造としては定義しないこととなった。

1988 年には IAU FITS Working Group が結成され、FITS 規約の維持や改良、将来の拡張、FITS 使用の推奨、FITS キーワード辞典の改良、などの統括をすることとなり、1989 年には IAU Commission 5 FITS Working Group が浮動小数点の表現に関する公式の合意に達した。

NASA/Science Office of Standards and Technology (NOST) ではこれらの FITS 規約を1つの成文としてまとめあげるために NOST FITS Standard を作成している。 この原案 (draft) の作成は、NOST の召集する Technical Panel (メンバーは後述) が行っており、原案の内容について NOST Technical Panel 内で合意に達すると draft standard として公開され、世界の天文コミュニティからの意見が求められる。 一定の議論を経て改訂がなされた後、draft standard は IAU commission 5 に提出され、3つの地域 FITS 委員会 (北米、ヨーロッパ、日本) での投票、IAU 総会での投票を受けて正式な標準規約 (FITS スタンダード) として認められることになる。

こうした経緯を経て、1993 年に最初のバージョンが、 Definition of the Flexible Image Transport System (FITS ) (June 18, 1993, NOST 100-1.0) として出された。

その後も、1994 年には Image Extension、Blocking、Binary Table が正式に FITS の拡張として認められる、などの変化があり、それらを取り入れた 100-1.1 が September 28, 1995 に出ている。


参考: NOST FITS Technical Panel メンバー (NOST 100-2.0 作成時)
Robert J. Hanisch, Chair STScI
William D. Pence, Secretary NASA/GSFC
Barry M Sclesinger, Past Secretary Raytheon STX
Allen Farris STScI
Eric W. Greisen NRAO
Peter J. Teuben Univ. of Maryland
Randall W. Thompson Computer Science Corporation
Archibald Warnock A/WWW Enterprises

NOST standard は、必要に応じて改定され、また最低 5 年に一度見直しがされることとなっているが、通常は 3 年に一度の IAU 総会に合わせて改定作業が行われている。 1995 年以降はまず draft standard バージョン 100-1.2 が 1998 年 4 月に公開された。 これを元に改訂された satndard バージョン 100-2.0 は 1999 年 3 月に公開された。 100-2.0 は 1999 年末までに、上記 3 つの地域委員会で承認され、その後 2000 年 10 月に正式に IAU での投票の結果、全員一致で承認され、新しい FITS のスタンダードとして認められた(``Definition of the Flexible Image Transport System(FITS)'',Hanisch, R. J. et al. A & Ap, 376, 359-380, 2001)。

ここでは正式に スタンダード になった NOST Definition of FITS 100-2.0 のうち reference になる部分の概要と、IAU により正式採用されている拡張に関して解説する。


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平成16年10月1日