花の簡易(安易)デジカメ紫外線写真: 画像処理についてのメモ
グレースケール(白黒写真)化

写真の色合いは、赤紫〜青になり、緑色の成分がほとんど含まれていない。文献やWeb上の写真はそれぞれに色合いが異なるが、レンズ・フィルターやCCD素子の特性、カメラのデジタル処理、さらに元画像のパソコン上での処理に左右されるのだろう。もちろん、意味を持つのは明暗情報だけだ。

紫外線写真の白黒加工
キジムシロの花の紫外線写真の白黒変換。(1)元の紫外線写真、(2)(1)をグレイスケール化したもの、(3)(2)の明るさ・コントラストを調整したもの。(4)(1)をRGB→BRGと交換したもの、(5)(4)をグレイスケール化したもの、(6)(5)の明るさ・コントラストを調整したもの。

撮影した画像を画像処理ソフトでグレイスケール変換すると、全体がきわめて暗くなり、コントラストが落ちる。後から明るさ・コントラストを調整しても、元の写真で分かるパターンがぼやけてしまう[写真の(1)→(2)→(3)]。これは、画像ソフトが人間の明暗感覚(緑色が最も敏感で、赤色・青色の順に鈍くなる)に合わせて(緑→赤→青)の順に重み付けをしている(下図)ためと思われる。そこで、「RGB交換」で赤→青/緑→赤/青→緑に交換してから変換する[写真の(1)→(4)→(5)→(6)]ことで、元の画像の明暗を強調することができる。

グレースケール変換グレースケール変換
左の画像を画像処理ソフトでグレースケール変換すると右のようになる。緑は明るく、青は暗くなる。

擬似カラー写真

紫外線のみのパターンは単色の写真で表わすことができるが、同距離・同角度で撮影された可視光線写真と紫外線写真があれば、両者を合成して擬似的に紫外線の情報と可視光線の情報と合わせて表現することもできる。紫外線に三原色の1つを割り当てるため、代わりに三原色のうちの1つは画像から抜け落ちることになる。

三原色のどれを抜くか、また、残る2色と紫外線をどのように割り当てるかによって、結果は異なる。下では、菜の花とPelargoniumの花の可視光線の写真と紫外線写真を材料にして、三通りを試した。

ナノハナ Pelargonium

処理はどれも同じで、可視光線の写真から三原色の1つを抜き、必要な場合はRGBを割り当て直す。また、紫外線写真は割り当てる色の単色カラーに変換する。両者を加算合成すると擬似カラー写真が得られる。

1. 1個ずらし
変換前 UV
変換後

赤・緑・青を、それぞれ短波長側に1つずつずらして割り当てる。波長と色の相対的関係が保たれている。赤が抜けるため、赤〜橙〜黄〜緑が全部同色に見える。

ナノハナPelargonium
2. 「BeeCAM」風
変換前 UV
変換後

赤を抜き、紫外線を赤に割り当てる。緑と青はそのまま。NHK放送技術研究所のハチの視覚を模した紫外光カラー化カメラ“ビーカム”(リンク切れ)と同じ方式。

ナノハナPelargonium
3. 横澤氏風
変換前 UV
変換後

青を抜き、紫外線を青に割り当てる。黄色系の花では、可視光線の印象をよく保ったまま紫外線の情報を加味できる。横澤文男氏がフィルターの組み合わせで実現している方式(リンク切れ)を画像処理で真似たもの。

ナノハナPelargonium

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