デジタルカメラと近紫外線・近赤外線

人間の視覚は紫外線・赤外線を感じることができない。しかし、カメラのレンズは、近紫外線・近赤外線を透過し、デジカメの撮像素子(CCD・CMOS)も感受性を持つ。紫外線/赤外線を含む光源(太陽光線など)下で、可視光線を遮る紫外線/赤外線透過フィルターをカメラに装着して撮影することで、デジタルカメラを通じて可視光線に近い紫外線(近紫外線)と可視光線に近い赤外線(近赤外線)を画像化することができる。

虹プリズム虹プリズム虹プリズム
虹プリズム

プリズム(シータスク社製虹プリズム=左)で壁に投射した太陽光スペクトルをRICOH CaplioGXで撮影したもの。左―紫外線透過フィルター(オーエムジー社製UL-360)装着、中―フィルターなし、右―赤外線透過フィルター(富士IR-76)装着。フィルターとの組み合わせにより、菫色光に隣接する近紫外線と赤色光に隣接する近赤外線を撮影することができる。紫外線透過フィルターは赤色光~近赤外線もわずかに透過している。

リモコン

特に、近赤外線は、レンズの透過率・撮像素子の感度とも、可視光線とあまり変わらない。デジカメの多くは赤外線カットフィルターをレンズと撮像素子の間に配置して赤外線が画像に影響するのを防いでいるが、完全ではない。多くの機種は、近赤外線を写すことができる(左の写真では、リモコンユニットの赤外線が紫色の光として見えている)。

近紫外線は、レンズの透過率・撮像素子の感度とも近赤外線よりずっと落ちる。機種の選択・撮影条件は格段に限られる。可視光線を出さずに紫外線を出す日用品はない(あったら大変危険)ので、赤外線の場合のリモコンのようにストレートに実感することはできない。機種により、ブラックライトをデジカメで撮影すると肉眼より明るく見えるていどだ(写真は、上がブラックライト、下が青色LEDライト。肉眼では、上の方がずっと暗く見える)。

ブラックライト・青色LED
緑の風景

近赤外光で写された風景は、大気中の分子による散乱光がきわめて少なく、遠景までくっきりと写る。また、植物の緑が白く、青空と雲のコントラストが強調されるなど、独特の効果が出る。近紫外光は、それと対照的な風景を映し出す。まるで霧の中にいるように遠景は霞み、植物の緑は暗く沈み込んで人工物が浮かび上がる。

キクイモキクイモキクイモ

近赤外光が写す花は蝋細工のように白く輝いている。近紫外光は、花の中に可視光では見えないパターンを映し出す。

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