H20学習指導要領 生物関係部分
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学習指導要領(文部科学省)から、H20学習指導要領生物関連部分を抜粋し、表形式にまとめたものです。過去の学習指導要領は、過去の学習指導要領(教育情報ナショナルセンター跡地)で参照することができます。

植物形態学にかかわる部分は青字で表わしてあります。

学習指導要領は学習指導要領解説に拠らなければ意図を正しく理解できない面があります。以下は、解説の意図を理解することに役立ちます。

高等学校学習指導要領解説理科編作成協力者による高等学校理科:「生物基礎」「生物」平成21年改訂学習指導要領および解説における主な変更点について(松浦克美氏)

教科書検定における検定意見は実質的に指導要領を補完する影響力を持っています。教科書会社によるQ&Aページで内容を見ることができます。

小学校生活
1.目標

自分と身近な動物や植物などの自然とのかかわりに関心をもち、自然のすばらしさに気付き、自然を大切にしたり、自分たちの遊びや生活を工夫したりすることができるようにする。

2.内容 3.内容の取り扱い
[1・2年]
身近な自然を観察したり、季節や地域の行事にかかわる活動を行ったりなどして、四季の変化や季節によって生活の様子が変わることに気付き、自分たちの生活を工夫したり楽しくしたりできるようにする。 自分と地域の人々、社会及び自然とのかかわりが具体的に把握できるような学習活動を行うこととし、校外での活動を積極的に取り入れること。
身近な自然を利用したり、身近にある物を使ったりなどして、遊びや遊びに使う物を工夫してつくり、その面白さや自然の不思議さに気付き、みんなで遊びを楽しむことができるようにする。
動物を飼ったり植物を育てたりして、それらの育つ場所、変化や成長の様子に関心をもち、また、それらは生命をもっていることや成長していることに気付き、生き物への親しみをもち、大切にすることができるようにする。 2学年にわたって取り扱うものとし、動物や植物へのかかわり方が深まるよう継続的な飼育、栽培を行うようにすること。
小学校理科
1.目標
3年 4年 5年 6年
身近に見られる動物や植物、日なたと日陰の地面を比較し 人の体のつくり、動物の活動や植物の成長、天気の様子、月や星の位置の変化を運動、季節、気温、時間などと関係付け 植物の発芽から結実までの過程、動物の発生や成長、流水の様子、天気の変化を条件、時間、水量、自然災害などに目を向け 生物の体のつくりと働き、生物と環境、土地のつくりと変化の様子、月と太陽の関係を推論し
ながら調べ、見いだした問題を
興味・関心をもって 計画的に
追究する活動を通して
生物を愛護する 生命を尊重する
態度を育てるとともに
生物の成長のきまりや体のつくり、生物と環境とのかかわり、太陽と地面の様子との関係 人の体のつくりと運動、動物の活動や植物の成長と環境とのかかわり、気象現象、月や星の動き 生命の連続性、流水の働き、気象現象の規則性 生物の体の働き、生物と環境とのかかわり、土地のつくりと変化のきまり、月の位置や特徴
についての見方や考え方を養う
2.内容 3.内容の取り扱い
[3年]

昆虫と植物
身近な昆虫や植物を探したり育てたりして、成長の過程や体のつくりを調べ、それらの成長のきまりや体のつくりについての考えをもつことができるようにする。

昆虫の育ち方には一定の順序があり、成虫の体は頭、胸及び腹からできている 飼育、栽培を通して行う
植物の育ち方には一定の順序があり、その体は根、茎及び葉からできている 飼育、栽培を通して行う。夏生一年生の双子葉植物を扱う

身近な自然の観察
身の回りの生物の様子を調べ、生物とその周辺の環境との関係についての考えをもつことができるようにする。

生物は、色、形、大きさなどの姿が違う
生物は、その周辺の環境とかかわって生きている
[4年]

人の体のつくりと運動
人や他の動物の体の動きを観察したり資料を活用したりして、骨や筋肉の動きを調べ、人の体のつくりと運動とのかかわりについての考えをもつことができるようにする。

人の体には骨と筋肉がある
人が体を動かすことができるのは、骨、筋肉の働きによる 関節の働きを扱うものとする。

季節と生物
身近な動物や植物を探したり育てたりして、季節ごとの動物の活動や植物の成長を調べ、それらの活動や成長と環境とのかかわりについての考えをもつことができるようにする。

動物の活動は、暖かい季節、寒い季節などによって違いがある 1年を通して動物の活動や植物の成長をそれぞれ2種類以上観察するものとする。
植物の活動は、暖かい季節、寒い季節などによって違いがある
[5年]

植物の発芽、成長、結実
植物を育て、植物の発芽、成長及び結実の様子を調べ、植物の発芽、成長及び結実とその条件についての考えをもつことができるようにする。

植物は、種子の中の養分を基にして発芽する 「種子の中の養分」については、でんぷんを扱う
植物の発芽には、水、空気及び温度が関係している
植物の成長には、日光や肥料などが関係している
花にはおしべやめしべなどがあり、花粉がめしべの先に付くとめしべのもとが実になり、実の中に種子ができる おしべ、めしべ、がく及び花びらを扱うこと。また、受粉については、風や昆虫などが関係していることにも触れる

動物の誕生
魚を育てたり人の発生についての資料を活用したりして、卵の変化の様子や水中の小さな生物を調べ、動物の発生や成長についての考えをもつことができるようにする。

魚には雌雄があり、生まれた卵は日がたつにつれて中の様子が変化してかえる
魚は、水中の小さな生物を食べ物にして生きている
人は、母体内で成長して生まれる 受精に至る過程は取り扱わない
[6年]

人の体のつくりと働き
人や他の動物を観察したり資料を活用したりして、呼吸、消化、排出及び循環の働きを調べ、人や他の動物の体のつくりと働きについての考えをもつことができるようにする。

体内に酸素が取り入れられ、体外に二酸化炭素などが出されている
食べ物は、口、胃、腸などを通る間に消化、吸収され、吸収されなかった物は排出される
血液は、心臓の働きで体内を巡り、養分、酸素及び二酸化炭素などを運んでいる 心臓の拍動と脈拍が関係することにも触れる
体内には、生命活動を維持するための様々な臓器がある 主な臓器として、肺、胃、小腸、大腸、肝臓、腎臓、心臓を扱う

植物の養分と水の通り道
植物を観察し、植物の体内の水などの行方や葉で養分をつくる働きを調べ、植物の体のつくりと働きについての考えをもつことができるようにする。

植物の葉に日光が当たるとでんぷんができること。
根、茎及び葉には、水の通り道があり、根から吸い上げられた水は主に葉から蒸散している

生物と環境
動物や植物の生活を観察したり、資料を活用したりして調べ、生物と環境とのかかわりについての考えをもつことができるようにする。

生物は、水及び空気を通して周囲の環境とかかわって生きている 水が循環していることにも触れるものとする。
生物の間には、食う食われるという関係がある
道徳関連

理科においては,目標を「自然に親しみ,見通しをもって観察,実験などを行い,問題解決の能力と自然を愛する心情を育てるとともに,自然の事物・現象についての実感を伴った理解を図り,科学的な見方や考え方を養う。」と示している。栽培や飼育などの体験活動を通して自然を愛する心情を育てることは,生命を尊重し,自然環境を大切にする態度の育成につながるものである。また,見通しをもって観察,実験を行うことや,問題解決の能力を育て,科学的な見方や考え方を養うことは,道徳的判断力や真理を大切にしようとする態度の育成にも資するものである。


中学校理科[第2分野]
1.目標

(1) 生物とそれを取り巻く自然の事物・現象に進んでかかわり、その中に問題を見いだし意欲的に探究する活動を通して、多様性や規則性を発見したり課題を解決したりする方法を習得させる。

(2) 生物や生物現象についての観察、実験を行い、観察・実験技能を習得させ、観察、実験の結果を分析して解釈し表現する能力を育てるとともに、生物の生活と種類、生命の連続性などについて理解させ、これらの事物・現象に対する科学的な見方や考え方を養う。

(4) 生物とそれを取り巻く自然の事物・現象を調べる活動を行い、これらの活動を通して生命を尊重し、自然環境の保全に寄与する態度を育て、自然を総合的に見ることができるようにする。

2.内容 3.内容の取り扱い

(1) 植物の生活と種類
身近な植物などについての観察、実験を通して、生物の調べ方の基礎を身に付けさせるとともに、植物の体のつくりと働きを理解させ、植物の生活と種類についての認識を深める。

(3) 動物の生活と生物の変遷
生物の体は細胞からできていることを観察を通して理解させる。また、動物などについての観察、実験を通して、動物の体のつくりと働きを理解させ、動物の生活と種類についての認識を深めるとともに、生物の変遷について理解させる。

(5) 生命の連続性
身近な生物についての観察、実験を通して、生物の成長と殖え方、遺伝現象について理解させるとともに、生命の連続性について認識を深める。

(7) 自然と人間 自然環境を調べ、自然界における生物相互の関係や自然界のつり合いについて理解させるとともに、自然と人間のかかわり方について認識を深め、自然環境の保全と科学技術の利用の在り方について科学的に考察し判断する態度を養う。

生物の観察
校庭や学校周辺の生物の観察を行い、いろいろな生物が様々な場所で生活していることを見いだすとともに、観察器具の操作、観察記録の仕方などの技能を身に付け、生物の調べ方の基礎を習得する
植物を中心に取り上げ、水中の微小な生物の存在にも触れる
花のつくりと働き
いろいろな植物の花のつくりの観察を行い、その観察記録に基づいて、花のつくりの基本的な特徴を見いだすとともに、それらを花の働きと関連付けてとらえる
被子植物を中心に取り上げること。「花の働き」については、受粉後に胚珠(はいしゅ)が種子になることを中心に扱う
葉・茎・根のつくりと働き
いろいろな植物の葉、茎、根のつくりの観察を行い、その観察記録に基づいて、葉、茎、根のつくりの基本的な特徴を見いだすとともに、それらを光合成、呼吸、蒸散に関する実験結果と関連付けてとらえる
光合成における葉緑体の働きにも触れること。また、葉、茎、根の働きを相互に関連付けて全体の働きとしてとらえる
種子植物の仲間
花や葉、茎、根の観察記録に基づいて、それらを相互に関連付けて考察し、植物が体のつくりの特徴に基づいて分類できることを見いだすとともに、植物の種類を知る方法を身に付ける

種子をつくらない植物の仲間
シダ植物やコケ植物の観察を行い、これらと種子植物の違いを知る
シダ植物やコケ植物が胞子をつくることにも触れる
生物と細胞
生物の組織などの観察を行い、生物の体が細胞からできていること及び植物と動物の細胞のつくりの特徴を見いだす
脊椎動物を取り上げる。動物を観察し、食物のとり方、運動・感覚器官の発達、体の表面の様子や呼吸の仕方の違いに気付かせる
生命を維持する働き
消化や呼吸、血液の循環についての観察、実験を行い、動物の体が必要な物質を取り入れ運搬している仕組みを観察、実験の結果と関連付けてとらえること。また、不要となった物質を排出する仕組みがあることについて理解する
各器官の働きを中心に扱うこと。「消化」については、代表的な消化酵素の働きを取り上げること。また、摂取された食物が消化によって小腸の壁から吸収される物質になることにも触れること。「呼吸」については、細胞の呼吸にも触れること。「血液の循環」に関連して、血液成分の働き、腎臓(じんぞう)や肝臓の働きにも触れる
刺激と反応
動物が外界の刺激に適切に反応している様子の観察を行い、その仕組みを感覚器官、神経系及び運動器官のつくりと関連付けてとらえる
各器官の働きを中心に扱う
脊椎動物の仲間
脊椎動物の観察記録に基づいて、体のつくりや子の生まれ方などの特徴を比較、整理し、脊椎動物が幾つかの仲間に分類できることを見いだす
脊椎動物の体の表面の様子や呼吸の仕方、運動・感覚器官の発達、食物のとり方の違いに気付かせる
無脊椎動物の仲間
無脊椎動物の観察などを行い、その観察記録に基づいて、それらの動物の特徴を見いだす
節足動物や軟体動物の観察を行い、それらの動物と脊椎動物の体のつくりの特徴を比較することを中心に扱う
生物の変遷と進化
現存の生物や化石の比較などを基に、現存の生物は過去の生物が変化して生じてきたものであることを体のつくりと関連付けてとらえる
進化の証拠とされる事柄や進化の具体例について取り上げること。その際、生物にはその生息環境での生活に都合のよい特徴が見られることにも触れる
細胞分裂と生物の成長
体細胞分裂の観察を行い、その過程を確かめるとともに、細胞の分裂を生物の成長と関連付けてとらえる
染色体が複製されることにも触れる
生物の殖え方
身近な生物の殖え方を観察し、有性生殖と無性生殖の特徴を見いだすとともに、生物が殖えていくときに親の形質が子に伝わることを見いだす
有性生殖の仕組みを減数分裂と関連付けて扱うこと。「無性生殖」については、単細胞生物の分裂や栄養生殖にも触れる
遺伝の規則性と遺伝子
交配実験の結果などに基づいて、親の形質が子に伝わるときの規則性を見いだす
分離の法則を扱うこと。また、遺伝子に変化が起きて形質が変化することがあることや遺伝子の本体がDNAであることにも触れる
自然界のつり合い
微生物の働きを調べ、植物、動物及び微生物を栄養の面から相互に関連付けてとらえるとともに、自然界では、これらの生物がつり合いを保って生活していることを見いだす
生態系における生産者、消費者及び分解者の関連を扱うこと。その際、土壌動物にも触れる
自然環境の調査と環境保全
身近な自然環境について調べ、様々な要因が自然界のつり合いに影響していることを理解するとともに、自然環境を保全することの重要性を認識する
生物や大気、水などの自然環境を直接調べたり、記録や資料を基に調べたりするなどの活動を行うこと。また、地球温暖化や外来種にも触れる
道徳関連

自然の事物・現象を調べる活動を通して,生物相互の関係や自然界のつり合いについて考えさせ,自然と人間とのかかわりを認識させることは,生命を尊重し,自然環境の保全に寄与する態度の育成につながるものである。また,目的意識をもって観察,実験を行うことや,科学的に探究する能力を育て,科学的な見方や考え方を養うことは,道徳的判断力や真理を大切にしようとする態度の育成にも資するものである。


高等学校科学と人間生活
1.目標

自然と人間生活とのかかわり及び科学技術が人間生活に果たしてきた役割について、身近な事物・現象に関する観察、実験などを通して理解させ、科学的な見方や考え方を養うとともに、科学に対する興味・関心を高める。

2.内容 3.内容の取り扱い

(2) 人間生活の中の科学
身近な自然の事物・現象及び日常生活や社会の中で利用されている科学技術を取り上げ、 科学と人間生活とのかかわりについて認識を深めさせる。

ウ. 生命の科学
生物と光 植物の生育、動物の行動及びヒトの視覚と光とのかかわりについて理解すること。どちらか1つを選択光合成と光、光に対する動物の行動、ヒトの視覚に関して、観察、実験などを中心に扱うこと。その際、「植物の生育」については、成長運動、開花にも触れること。「動物の行動」については、体内時計も取り上げ、ヒトの健康と光とのかかわりにも触れること。
微生物とその利用 様々な微生物の存在と生態系での働き、微生物と人間生活とのかかわりについて理解すること。様々な微生物の存在、生態系での分解者としての働き、発酵に関して、観察、実験などを中心に扱うこと。その際、「様々な微生物の存在」については、微生物の発見の歴史にも触れること。「微生物と人間生活とのかかわり」については、微生物が医薬品などの生成に利用されることにも触れること。


高等学校生物基礎
1.目標

日常生活や社会との関連を図りながら生物や生物現象への関心を高め、目的意識をもって観察、実験などを行い、生物学的に探究する能力と態度を育てるとともに、生物学の基本的な概念や原理・法則を理解させ、科学的な見方や考え方を養う。

2.内容 3.内容の取り扱い

(1) 生物と遺伝子
生物と遺伝子について観察、実験などを通して探究し、細胞の働き及びDNAの構造と機能の概要を理解させ、生物についての共通性と多様性の視点を身に付けさせる。

生物の特徴 生物の共通性と多様性 生物は多様でありながら共通性をもっていることを理解すること。 この科目の導入として位置付け、以後の学習においても、生物についての共通性と多様性の視点を意識させるよう展開すること。
生物が共通性を保ちながら進化し多様化してきたこと、その共通性は起源の共有に由来することを扱うこと。その際、原核生物と真核生物の観察を行うこと。
細胞とエネルギー 生命活動に必要なエネルギーと代謝について理解すること。 呼吸と光合成の概要を扱うこと。その際、酵素の触媒作用やATPの役割、ミトコンドリアと葉緑体の起源にも触れること。
遺伝子とその働き 遺伝情報とDNA 遺伝情報を担う物質としてのDNAの特徴について理解すること。 DNAの二重らせん構造と塩基の相補性を扱うこと。また、遺伝子とゲノムとの関係に触れること。
遺伝情報の分配 DNAが複製され分配されることにより、遺伝情報が伝えられることを理解すること。 細胞周期と関連付けて扱うこと。
遺伝情報とタンパク質の合成 DNAの情報に基づいてタンパク質が合成されることを理解すること。 転写と翻訳の概要を扱うこと。その際、タンパク質の生命現象における重要性にも触れること。また、すべての遺伝子が常に発現しているわけではないことにも触れること。

(2) 生物の体内環境の維持
生物の体内環境の維持について観察、実験などを通して探究し、生物には体内環境を維持する仕組みがあることを理解させ、体内環境の維持と健康との関係について認識させる。

生物の体内環境 体内環境 体内環境が保たれていることを理解すること。 体液の成分とその濃度調節を扱うこと。また、血液凝固にも触れること。
体内環境の維持の仕組み 体内環境の維持に自律神経とホルモンがかかわっていることを理解すること。 血糖濃度の調節機構を取り上げること。その際、身近な疾患の例にも触れること。
免疫 免疫とそれにかかわる細胞の働きについて理解すること。 身近な疾患の例にも触れること。

(3) 生物の多様性と生態系
生物の多様性と生態系について観察、実験などを通して探究し、生態系の成り立ちを理解させ、その保全の重要性について認識させる。

植生の多様性と分布 植生と遷移 陸上には様々な植生がみられ、植生は長期的に移り変わっていくことを理解すること。 植生の成り立ちには光や土壌などが関係することを扱うこと。また、植物の環境形成作用にも触れること。
気候とバイオーム 気温と降水量の違いによって様々なバイオームが成立していることを理解すること。 気温と降水量に対する適応に関連付けて扱うこと。また、日本のバイオームも扱うこと。
生態系とその保全 生態系と物質循環 生態系では、物質が循環するとともにエネルギーが移動することを理解すること。 物質の「循環」については、窒素の循環も扱うこと。
生態系のバランスと保全 生態系のバランスについて理解し、生態系の保全の重要性を認識すること。 人間の活動によって生態系が攪乱され、生物の多様性が損なわれることがあることを扱うこと。

(1)~(3)それぞれの「探求活動」: 探究活動を行い、学習内容の理解を深めるとともに、生物学的に探究する能力を高めること。



高等学校生物
1.目標

生物や生物現象に対する探究心を高め、目的意識をもって観察、実験などを行い、生物学的に探究する能力と態度を育てるとともに、生物学の基本的な概念や原理・法則の理解を深め、科学的な自然観を育成する。

2.内容 3.内容の取り扱い

(1) 生命現象と物質
生命現象を支える物質の働きについて観察、実験などを通して探究し、タンパク質や核酸などの物質の働きを理解させ、生命現象を分子レベルでとらえさせる。

細胞と分子 生体物質と細胞 細胞の内部構造とそれを構成する物質の特徴を理解すること。 生命現象を分子レベルでとらえるために必要な最小限の化学の知識にも触れること。 生体膜を扱い、細胞骨格にも触れること。
生命現象とタンパク質 様々なタンパク質が様々な生命現象を支えていることを理解すること。 物質輸送、情報伝達などにかかわるタンパク質を扱うこと。また、酵素については、その働きとタンパク質の立体構造との関係を扱うこと。
代謝 呼吸 呼吸によって有機物からエネルギーが取り出される仕組みを理解すること。 解糖系、クエン酸回路及び電子伝達系を扱うこと。発酵にも触れること。
光合成 光合成によって光エネルギーを用いて有機物がつくられる仕組みを理解すること。 光化学系、電子伝達系及びカルビン・べンソン回路を扱うこと。また、光合成細菌と化学合成細菌にも触れること。
窒素同化 窒素同化について理解すること。 有機物にアミノ基が導入されてアミノ酸がつくられることにも触れること。
遺伝情報の発現 遺伝情報とその発現 DNAの複製の仕組み、遺伝子の発現の仕組み及び遺伝情報の変化を理解すること。 「遺伝情報の発現」については、転写、スプライシング及び翻訳を扱うこと。 「遺伝情報の変化」については、同一種内でのゲノムの多様性にも触れること。
遺伝子の発現調節 遺伝子の発現が調節されていること及びその仕組みの概要を理解すること。 転写レベルの調節を扱うこと。
バイオテクノロジー 遺伝子を扱った技術について、その原理と有用性を理解すること。 制限酵素、ベクター及び遺伝子の増幅技術に触れること。

(2) 生殖と発生
生物の生殖や発生について観察、実験などを通して探究し、動物と植物の配偶子形成から形態形成までの仕組みを理解させる。

有性生殖 減数分裂と受精 減数分裂による遺伝子の分配と受精により多様な遺伝的な組合せが生じることを理解すること。 性染色体の存在にも触れること。
遺伝子と染色体 遺伝子の連鎖と組換えについて理解すること。 組換えによって遺伝子の新しい組合せが生じることを扱うこと。
動物の発生 配偶子形成と受精 配偶子形成と受精の過程について理解すること。
初期発生の過程 卵割から器官分化の始まりまでの過程について理解すること。 胚の前後軸の決定に卵の細胞質における不均一性が関与していることを扱うこと。
細胞の分化と形態形成 細胞の分化と形態形成の仕組みを理解すること。 形成体と誘導現象を扱うこと。また、細胞分化や形態形成にかかわる代表的な遺伝子の働きにも触れること。
植物の発生 配偶子形成と受精、胚発生 配偶子形成と受精及び胚発生の過程について理解すること。 被子植物を中心に扱うこと。
植物の器官の分化 被子植物の器官の分化の過程について理解すること。 花の形態形成における遺伝子の働きを扱うこと。

(3) 生物の環境応答
環境の変化に生物が反応していることについて観察、実験などを通して探究し、生物個体が外界の変化を感知し、それに反応する仕組みを理解させる。

動物の反応と行動 刺激の受容と反応 外界の刺激を受容し、神経系を介して、反応する仕組みを理解すること。 受容器として眼と耳を中心に、効果器として筋肉を中心に取り上げ、刺激の受容から反応までの流れを扱うこと。
動物の行動 刺激に対する反応としての動物個体の行動について理解すること。 神経系の働きに関連付けられる動物の行動を扱うこと。
植物の環境応答 植物が環境変化に反応する仕組みを理解すること。 植物ホルモンと光受容体を扱うこと。

(4) 生態と環境
生物の個体群と群集及び生態系について観察、実験などを通して探究し、それらの構造や変化の仕組みを理解させ、生態系のバランスや生物多様性の重要性について認識させる。

個体群と生物群集 個体群 個体群とその変動について理解すること。 個体群内の相互作用として種内競争と社会性、個体群間の相互作用として捕食と被食、種間競争及び相利共生を扱うこと。
生物群集 生物群集の成り立ちについて理解すること。 多様な種が共存する仕組みを扱うこと。
生態系 生態系の物質生産 生態系における物質生産とエネルギー効率について理解すること。 「物質生産」については、年間生産量を取り上げ、生産者の現存量と関連付けて扱うこと。
生態系と生物多様性 生態系における生物多様性に影響を与える要因を理解し、生物多様性の重要性を認識すること。 遺伝的多様性、種多様性及び生態系多様性を扱うこと。また、個体群の絶滅を加速する要因も扱うこと。

(5) 生物の進化と系統
生物の進化の過程とその仕組み及び生物の系統について、観察、実験などを通して探究し、生物界の多様性と系統を理解させ、進化についての考え方を身に付けさせる。

生物の進化の仕組み 生命の起源と生物の変遷 生命の起源と生物進化の道筋について理解すること。 生物の変遷を地球環境の変化に関連付けて扱うこと。
進化の仕組み 生物進化がどのようにして起こるのかを理解すること。 種分化の過程も扱うこと。
生物の系統 生物はその系統に基づいて分類できることを理解すること。 ドメインや界・門などの高次の分類群を中心に扱うこと。

(1)~(5)それぞれの「探求活動」: 探究活動を行い、学習内容の理解を深めるとともに、生物学的に探究する能力を高めること。

道徳関連

理科においては,目標を「自然の事物・現象に対する関心や探究心を高め,目的意識をもって観察,実験などを行い,科学的に探究する能力と態度を育てるとともに自然の事物・現象についての理解を深め,科学的な自然観を育成する。」と示している。自然の事物・現象を探究する活動を通して,地球の環境や生態系のバランスなどの事象を理解させ,自然と人間とのかかわりについての認識を深めさせることは,生命を尊重し,自然環境の保全に寄与する態度の育成につながるものである。また,目的意識をもって観察,実験を行うことや,科学的に探究する能力や態度を育て,科学的な自然観を育成することは,道徳的判断力や真理を大切にしようとする態度の育成にも資するものである。


高等学校理科課題研究
1.目標

科学に関する課題を設定し、観察、実験などを通して研究を行い、科学的に探究する能力と態度を育てるとともに、創造性の基礎を培う。

2.内容 3.内容の取り扱い
特定の自然の事物・現象に関する研究 生徒の興味・関心、進路希望等に応じて、4つの中から、個人又はグループで適切な課題を設定させること。2項目以上にまたがる課題を設定することができること。 指導に効果的な場合には、大学や研究機関、博物館などと積極的に連携、協力を図ること。 研究の成果について、報告書を作成させ、発表を行う機会を設けること。 高等学校理科の内容と関連させて扱うこと。
先端科学や学際的領域に関する研究
自然環境の調査に基づく研究
科学を発展させた実験に関する研究 科学の歴史における著名な実験などを行い、原理・法則の確立の経緯とも関連付けて扱うこと。

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