小学校理科 [第3学年] 1. 目標 (1) 身近に見られる動物や植物を比較しながら調べ、見いだした問題を興味・関心をもって追究する活動を通して、生物を愛護する態度を育てるとともに、生物の成長のきまりや体のつくり、生物同士のかかわりについての見方や考え方を養う。 2. 内容 A. 生物とその環境 (1) 身近な昆虫や植物を探したり育てたりして、成長の過程や体のつくりを調べ、それらの成長のきまりや体のつくり及び昆虫と植物とのかかわりについての考えをもつようにする。 ア. 昆虫の育ち方には一定の順序があり、その体は頭、胸及び腹からできていること。 イ. 植物の育ち方には一定の順序があり、その体は根、茎及び葉からできていること。 ウ. 昆虫には植物を食べたり、それをすみかにしたりして生きているものがいること。 3. 内容の取扱い (1) 内容A(1)については、次のとおり取り扱うものとする。 ア. ア及びイについては、飼育、栽培を通して行うこと。また、昆虫及び植物については、それぞれ、2種類又は3種類扱うこと。 イ. アについては、幼虫の体のつくりは扱わないこと。また、成虫の体のつくりを調べるとき、人の目などの感覚器官と対比して扱うようにすること。 ウ. イの「植物の育ち方」については、夏生一年生の双子葉植物のみを扱うこと。 [第4学年] 1. 目標 (1) 身近に見られる動物の活動や植物の成長を季節と関係付けながら調べ、見いだした問題を興味・関心をもって追究する活動を通して、生物を愛護する態度を育てるとともに、動物の活動や植物の成長と環境とのかかわりについての見方や考え方を養う。 2. 内容 A. 生物とその環境 (1) 身近な動物や植物を探したり育てたりして、季節ごとの動物の活動や植物の成長を調べ、それらの活動や成長と季節とのかかわりについての考えをもつようにする。 ア. 動物の活動は、暖かい季節、寒い季節などによって違いがあること。 イ. 植物の成長は、暖かい季節、寒い季節などによって違いがあること。 3. 内容の取扱い (1) 内容A(1)については、次のとおり取り扱うものとする。 ア. ア、イについては、1年を通して数種類の動植物の活動や成長を観察すること。 イ. イについては、夏生一年生植物のみを扱うこと。なお、その際、それらと落葉樹を対比することによって植物の個体の死について触れること。 [第5学年] 1. 目標 (1) 植物の発芽から結実までの過程、動物の発生や成長などをそれらにかかわる条件に目を向けながら調べ、見いだした問題を計画的に追究する活動を通して、生命を尊重する態度を育てるとともに、生命の連続性についての見方や考え方を養う。 2. 内容 A. 生物とその環境 (1) 植物を育て、植物の発芽、成長及び結実の様子を調べ、植物の発芽、成長及び結実とその条件についての考えをもつようにする。 ア. 植物は、種子の中の養分を基にして発芽すること。 イ. 植物の発芽には、水、空気及び温度が関係していること。 ウ. 植物の成長には、日光や肥料などが関係していること。 エ. 花にはおしべやめしべなどがあり、花粉がめしべの先に付くとめしべのもとが実になり、実の中に種子ができること。 (2) 魚を育てたり人の発生についての資料を活用したりして、卵の変化の様子を調べ、動物の発生や成長についての考えをもつようにする。 ア. 魚には雌雄があり、生まれた卵は日がたつにつれて中の様子が変化してかえること。 イ. 人は、母体内で成長して生まれること。 3. 内容の取扱い (1) 内容A(1)については、次のとおり取り扱うものとする。 ア. アの「種子の中の養分」については、でんぷんだけを扱うこと。 イ. ア、イ及びウについては、土を発芽の条件や成長の要因として扱わないこと。 ウ. エについては、おしべ、めしべ、がく及び花びらを扱うことにとどめること。また、受粉については、虫や風が関係していることに触れるにとどめること。 (2) 内容のA(2)については、児童がア又はイのいずれかを選択して調べるようにするものとする。また、受精に至る過程は取り扱わないものとする。 [第6学年] 1. 目標 (1) 生物の体のつくりと働き及び生物と環境とを関係付けながら調べ、見いだした問題を多面的に追究する活動を通して、生命を尊重する態度を育てるとともに、生物の体の働き及び生物と環境とのかかわりについての見方や考え方を養う。 2. 内容 A. 生物とその環境 (1) 人及び他の動物を観察したり資料を活用したりして、呼吸、消化、排出及び循環の働きを調べ、人及び他の動物の体のつくりと働きについての考えをもつようにする。 ア. 体内に酸素が取り入れられ、体外に二酸化炭素などが出されていること。 イ. 食べ物は、口、胃、腸などを通る間に消化、吸収され、吸収されなかった物は排出されること。 ウ. 血液は、心臓の働きで体内を巡り、養分、酸素及び二酸化炭素を運んでいること。 (2) 動物や植物の生活を観察し、生物の養分のとり方を調べ、生物と環境とのかかわりについての考えをもつようにする。 ア. 植物の葉に日光が当たるとでんぷんができること。 イ. 生きている植物体や枯れた植物体は動物によって食べられること。 ウ. 生物は、食べ物、水及び空気を通して周囲の環境とかかわって生きていること。 3. 内容の取扱い (1) 内容A(1)については、次のとおり取り扱うものとする。 ア. ア、イ及びウについては、体内に取り込まれた物質の使われ方は扱わないこと。 イ. ウについては、心臓の拍動と脈拍が関係することにも触れること。 (2) 内容のA(2)のウについては、食物連鎖などは取り扱わないものとする。 中学校理科 [第2分野] 1. 目標 (1) 生物とそれを取り巻く自然の事物・現象に対する関心を高め、その中に問題を見いだし意欲的に探究する活動を通して、規則性を発見したり課題を解決したりする方法を習得させる。 (2) 生物や生物現象についての観察、実験を行い、観察・実験技能を習得させ、観察、実験の結果を考察して自らの考えを導きだし表現する能力を育てるとともに、植物や動物の生活と種類、生物の細胞と生殖などについて理解させ、これらの事象に対する科学的な見方や考え方を養う。 (4) 生物とそれを取り巻く自然の事物・現象を調べる活動を行い、自然の調べ方を身に付けるとともに、これらの活動を通して自然環境を保全し、生命を尊重する態度を育て、自然を総合的に見ることができるようにする。 2. 内容 (1) 植物の生活と種類 身近な植物についての観察、実験を通して、生物の調べ方の基礎を身に付けさせるとともに、植物の体のつくりと働きを理解させ、植物の種類やその生活についての認識を深める。 ア. 生物の観察 (ア) 校庭や学校周辺の生物の観察を行い、いろいろな生物が様々な場所で生活していることを見いだすとともに、観察器具の操作、観察記録の仕方などの技能を身に付け、生物の調べ方の基礎を習得させること。 イ. 植物の体のつくりと働き (ア) いろいろな植物の花の観察を行い、その観察記録に基づいて、花の基本的なつくりの特徴を見いだすとともに、それらを花の働きと関連付けてとらえること。 (イ) いろいろな植物の葉、茎、根の観察を行い、その観察記録に基づいて、葉、茎、根の基本的なつくりの特徴を見いだすとともに、それらを光合成、呼吸、蒸散に関する実験結果と関連付けてとらえること。 ウ. 植物の仲間 (ア) 花や葉、茎、根の観察記録に基づいて、それらを相互に関連付けて考察し、植物が体のつくりの特徴に基づいて分類できることを見いだすとともに、植物の種類を知る方法を身に付けること。 (3) 動物の生活と種類 身近な動物についての観察、実験を通して、動物の体のつくりと働きを理解させるとともに、動物の種類やその生活についての認識を深める。 ア. 動物の体のつくりと働き (ア) 身近な動物の観察を行い、その観察記録に基づいて、動物の体のつくりと働きとを関連付けてとらえること。 (イ) 動物が外界の刺激に適切に反応している様子の観察を行い、その仕組みを感覚器官、神経系及び運動器官のつくりと関連付けてとらえること。 (ウ) 消化や呼吸、血液の循環についての観察や実験を行い、動物の体には必要な物質を取り入れ運搬し、不要な物質を排出する仕組みがあることを観察や実験の結果と関連付けてとらえること。 イ. 動物の仲間 (ア) 身近な動物の観察記録に基づいて、体のつくりや子の生まれ方などの特徴を比較し、動物が幾つかの仲間に分類できることを見いだすこと。 (5) 生物の細胞と生殖 身近な生物についての観察、実験を通して、細胞のレベルで見た生物の体のつくりと生殖について理解させるとともに、親の形質が子に伝わる現象について認識させる。 ア. 生物と細胞 (ア) いろいろな細胞の観察を行い、生物の体が細胞からできていること及び植物と動物の細胞のつくりの特徴を見いだすこと。 (イ) 体細胞分裂の観察を行い、その過程を確かめるとともに、細胞の分裂を生物の成長と関連付けてとらえること。 イ. 生物の殖え方 (ア) 身近な生物の殖え方を観察し、有性生殖と無性生殖の特徴を見いだすとともに、生物が殖えていくときに親の形質が子に伝わることを見いだすこと。 (7) 自然と人間 微生物の働きや自然環境を調べ、自然界における生物相互の関係や自然界のつり合いについて理解し、自然と人間のかかわり方について総合的に見たり考えたりすることができるようにする。 ア. 自然と環境 (ア) 微生物の働きを調べ、植物、動物及び微生物を栄養摂取の面から相互に関連付けてとらえるとともに、自然界では、これらの生物がつり合いを保って生活していることを見いだすこと。 (イ) 学校周辺の身近な自然環境について調べ、自然環境は自然界のつり合いの上に成り立っていることを理解するとともに、自然環境を保全することの重要性を認識すること。 イ. 自然と人間 (ア) 自然がもたらす恩恵や災害について調べ、これらを多面的、総合的にとらえて、自然と人間のかかわり方について考察すること。 3. 内容の取扱い (2) 内容の(1)については、次のとおり取り扱うものとする。 ア. ア及びイについては、器具を用いた観察では、細胞の構造などについては内容の(5)で扱うので深入りしないこと。アの(ア)の「生物」については、植物を中心に取り上げ、水中の微小生物についても簡単に扱うこと。 イ. イの(ア)については、被子植物を中心に取り上げ、裸子植物は簡単に扱うこと。「花の働き」については、受粉によって胚珠が種子になることを扱う程度とし、受精などは、内容の(5)で扱うこと。 ウ. イの(イ)については、光合成における葉緑体の働きにも触れること。また、葉、茎、根の働きを相互に関連付けて全体の働きとしてとらえること。 エ. ウの(ア)については、植物が種子をつくる植物と種子をつくらない植物に分けられることを扱うが、種子をつくらない植物については、その存在を指摘する程度にとどめること。 (4) 内容の(3)については、次のとおり取り扱うものとする。 ア. アの「動物」については、脊椎動物を取り上げること。 イ. アの(ア)については、動物を観察し、食物のとり方、運動・感覚器官の発達、体の表面の様子や呼吸の仕方の違いに気付かせること。 ウ. アの(イ)については、各器官の働きを中心に扱い、構造の詳細は扱わないこと。 エ. アの(ウ)については、各器官の働きを中心に扱い、構造の詳細は扱わないこと。また、心臓の構造は扱わないこと。「消化」については、消化に関係する一つ又は二つの酵素の働きを取り上げること。「呼吸」については、外呼吸を中心に取り上げるとともに、細胞の呼吸については簡単に扱い、呼吸運動は扱わないこと。「血液の循環」に関連して、血液成分の働き、腎臓や肝臓の働きにも触れること。 オ. イの(ア)については、動物が脊椎動物と無脊椎動物に分けられることを扱うが、無脊椎動物については、その存在を指摘する程度にとどめること。 (6) 内容の(5)については、次のとおり取り扱うものとする。 ア. イの(ア)については、有性生殖の仕組みを減数分裂と関連付けて簡単に扱うこと。その際、遺伝の規則性は扱わないこと。「無性生殖」については、単細胞の分裂や挿し木、挿し芽を扱うにとどめること。 (8) 内容の(7)については、次のとおり取り扱うものとする。 ア. アの(ア)については、生産者、消費者及び分解者の関連を扱い、土壌動物については簡単に扱うこと。 イ. アの(イ)の自然環境について調べることについては、学校周辺の生物や大気、水などの自然環境を直接調べたり、記録や資料を基に調べたりする活動などを適宜行うこと。 ウ. イの(ア)については、記録や資料を基に調べること。「災害」については、地域において過去に地震、火山、津波、台風、洪水などの災害があった場合には、その災害について調べること。 高等学校理科基礎 1. 目標 科学と人間生活とのかかわり、自然の探究・解明や科学の発展の過程について、観察、実験などを通して理解させ、科学に対する興味・関心を高めるとともに、科学的な見方や考え方を養う。 2. 内容 (1) 科学の始まり 道具や火の活用、自然の観察とその積み重ね、自然の中に見られる規則性や法則性の発見など、科学の始まりと人間生活とのかかわりについて考えさせる。 (2) 自然の探究と科学の発展 自然への疑問や興味に基づく客観的な観察と新しい発想が科学を発展させ、自然の見方を大きく転換し、展開させたことについて理解させる。 イ. 生命を探る (ア) 細胞の発見と細胞説 (イ) 進化の考え方 3. 内容の取扱い (1) 内容の構成とその取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。 イ. 内容の(1)については、この科目の導入であることを踏まえ、科学への興味・関心を高めるよう展開すること。その際、羅列的な扱いはしないこと。 ウ. 内容の(2)のアからエまでについては、生徒の実態等を考慮し、それぞれ(ア)又は(イ)のいずれかを選択して扱うこと。その際、典型的な観察や実験を取り上げ、探究的な学習を行うようにすること。 (2) 内容の範囲や程度については、次の事項に配慮するものとする。 ア. 内容の(1)については、直立歩行する人類の特性から道具や火の活用が進み、文明をつくる基礎となったこと、自然観察に基づいて、人間生活にかかわる工夫が重ねられたことを扱うこと。また、言語や文字の発達により、情報が時代を超えて集積されるようになり、古代においても人類が自然の法則性を見いだしたこと、その中には今日でも通用するものがあると同時に、実証的でなく観念的なものも長く続いていたことを扱うこと。 イ. 内容の(2)のアの(ア)については、元素の概念や原子、分子の存在を確かめていウ. 内容の(2)のイの(ア)については、顕微鏡を用いた身近な生物の観察を通して、すべての生物を構成する基本的な単位が細胞であること、細胞の発見から細胞説が確立されたこと及び生物は自然発生をしないことを扱い、それらに関して顕微鏡の発明が重要な役割を果たしたことにも触れること。 (イ)については、進化論が提唱されるに至った過程や論争の考察を通して、地球上に生活する多様な生物が進化の過程を経て現在に至ったことを進化の事例とともに扱うこと。その際、分子進化については扱わないこと。 高等学校理科総合B 1. 目標 自然の事物・現象に関する観察、実験などを通して、生物とそれを取り巻く環境を中心に、自然の事物・現象について理解させるとともに、人間と自然とのかかわりについて考察させ、自然に対する総合的な見方や考え方を養う。 2. 内容 (2) 生命と地球の移り変わり 生命の星としての地球の変遷をたどり、生命の出現と生物の変遷は地球環境の変化とかかわっていること及び生物は遺伝という共通の性質をもち、親の形質を子に伝えていることについて理解させる。 イ. 生物の移り変わり (ア) 生物の変遷 地球上の光合成生物の誕生から生物が陸上に進出し現在の生物に至るまでの変遷について理解させる。 (イ) 遺伝の規則性 生物には親から子へ形質を伝える遺伝現象があり、そこには遺伝子の存在という共通性があることを理解させる。 (3) 多様な生物と自然のつり合い 地球上の様々な自然環境は、変化するとともに、その過程で平衡が保たれ、そこで多様な生物が生活していることについて理解させる。 イ. 生物と環境 (ア) 生物の多様性 地球には多様な生物が存在していること及びそれらの生活の多様性について理解させる。 (イ) 生物と環境とのかかわり 生物とそれを取り巻く環境は種々の生態系としてとらえることができること及び生態系における生物と環境とのかかわりを理解させる。 (4) 人間の活動と地球環境の変化 生物とそれを取り巻く環境の現状と課題について考察させ、人間と地球環境とのかかわりについて探究させる。 3. 内容の取扱い (2) 内容の程度や範囲については、次の事項に配慮するものとする。 イ. 内容の(2)のイの(ア)については、生物の変遷の羅列的な扱いはしないこと。また、大気の組成の変化と生命活動との相互のかかわりについても扱うこと。光合成生物の出現と関連し、太陽放射エネルギーについても扱い、その際、光の種類と性質にも触れること。(イ)についてはメンデルの法則のうち、優性の法則と分離の法則を扱うが、遺伝子については遺伝子の本体がDNAであることを指摘する程度にとどめること。 ウ. 内容の(3)のイの(ア)については、地球には様々な動物や植物が存在すること及びそれらがそれぞれの環境の下で多様な生活の仕方をしていることを具体的な例を通して扱うこと。その際、無脊椎動物及び種子をつくらない植物を含めて扱うこと。(イ)については、地球上の生物とそれを取り巻く環境との関係が、陸上や水中のそれぞれに特徴的な生態系としてとらえられることを扱い、食物網については簡単な扱いにとどめること。その際、生態系における炭素、窒素の循環やエネルギーの流れも扱うこと。また、人間も構成要素として含め、地球そのものが一つの大きな生態系とみなせることも扱うこと。 エ. 内容の(4)については、生徒の興味・関心等に応じて、水や大気の汚染、植物の遷移現象、地球温暖化など生物とそれを取り巻く環境に関する身近な課題を取り上げ、人間と環境とのかかわり、地球環境を保全することの重要性などを平易に扱うこと。 高等学校生物I 1. 目標 生物や生物現象についての観察、実験などを行い、自然に対する関心や探究心を高め、生物学的に探究する能力と態度を育てるとともに基本的な概念や原理・法則を理解させ、科学的な自然観を育成する。 2. 内容 (1) 生命の連続性 細胞、生殖と発生及び遺伝について観察、実験などを通して探究し、生物体の成り立ちと種族の維持の仕組みについて理解させ、生命の連続性についての見方や考え方を身に付けさせる。 ア. 細胞 (ア) 細胞の機能と構造 (イ) 細胞の増殖と生物体の構造 イ. 生殖と発生 (ア) 生殖細胞の形成と受精 (イ) 発生とその仕組み ウ. 遺伝 (ア) 遺伝の法則 (イ) 遺伝子と染色体 エ. 生命の連続性に関する探究活動 (2) 環境と生物の反応 環境と生物の反応の間に見られる仕組みを観察、実験などを通して探究し、生物は、個体として外部環境の変化に対応して、安定した内部環境を維持したり、成長や器官の分化を調節したりすることを理解させる。 ア. 環境と動物の反応 (ア) 体液とその恒常性 (イ) 刺激の受容と反応 イ. 環境と植物の反応 (ア) 植物の生活と環境 (イ) 植物の反応と調節 ウ. 環境と生物の反応に関する探究活動 3. 内容の取扱い (1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。 ア. 中学校理科との関連を考慮しながら、生物学の基本的な概念の形成を図るとともに、生物学的に探究する方法の習得を通して、科学的な思考力、判断力及び表現力を育成すること。 イ. 「探究活動」においては、各項目の学習活動と関連させながら観察、実験を行い、創意ある報告書の作成や発表を行わせること。また、それらを通して、仮説の設定、実験の計画、情報の収集、調査、対照実験、データの解釈など探究の方法を習得させること。その際、適宜コンピュータなどの活用を図ること。 (2) 内容の範囲や程度については、次の事項に配慮するものとする。 ア. 内容の(1)のアの(ア)については、細胞への物質の出入りや酵素も扱うこと。酵素については、酵素が細胞内や細胞外で作用することにより、生物現象を維持していることに触れる程度にとどめること。また、原核細胞の構造にも簡単に触れること。(イ)については、体細胞分裂によって様々な機能をもつ組織や器官をつくることにも触れるが、基本的な事項にとどめ、羅列的な扱いはしないこと。イの(ア)については、有性生殖を中心に扱い、生活環は扱わないこと。(イ)については、卵割や発生様式の羅列的な扱いはしないこと。発生の仕組みを扱うに当たっては、探究の過程に重点を置き、平易に扱うこと。分化についての分子生物学的な扱いはしないこと。ウの(ア)については、遺伝子の相互作用も扱うが、代表的な二つ又は三つの例にとどめること。(イ)については、遺伝子の連鎖と組換えも扱うが、二重乗換えには触れないこと。また、DNAの構造については二重らせん構造に触れる程度にとどめること。 イ. 内容の(2)のアの(ア)については、体液の働きとその循環に触れ、恒常性の維持の原理についても代表的な例に基づいて扱うこと。生体防御については、平易に扱うこと。その際、人の健康との関連にも簡単に触れること。(イ)については、受容器は代表的な一つ又は二つの例を中心に扱うこと。神経の興奮については初歩的な事項にとどめ、その仕組みは扱わないこと。脳を扱う場合、つくりについては深入りしないこと。動物の行動を扱う場合は一つ又は二つの例に基づいて、行動の発現する仕組みを扱うこと。イの(ア)については、水分の吸収、移動や光合成等と環境との関係を扱うが、光合成の仕組みは扱わないこと。(イ)については、植物の発芽、成長、花芽形成等と環境との関係について探究の過程を重視して扱うこと。 高等学校生物II 1. 目標 生物や生物現象についての観察、実験や課題研究などを行い、自然に対する関心や探究心を高め、生物学的に探究する能力や態度を育てるとともに基本的な概念や原理・法則の理解を深め、科学的な自然観を育成する。 2. 内容 (1) 生物現象と物質 生物体内の化学変化やエネルギー変換、様々な生物現象を支えるタンパク質や核酸などの働きを観察、実験などを通して探究し、生命を維持する共通の原理を理解させ、生物現象を分子レベルでとらえることができるようにする。 ア. タンパク質と生物体の機能 (ア) 生物体内の化学反応と酵素 (イ) 同化と異化 (ウ) タンパク質の機能 イ. 遺伝情報とその発現 (ア) 遺伝情報とタンパク質の合成 (イ) 形質発現の調節と形態形成 (ウ) バイオテクノロジー (2) 生物の分類と進化 生物の分類と系統及び進化の過程とその仕組みを観察、実験などを通して探究し、生物界の多様性と歴史的変遷を理解させ、分類と進化についての見方や考え方を身に付けさせる。 ア. 生物の分類と系統 (ア) 生物の分類 (イ) 生物の系統 イ. 生物の進化 (ア) 生物界の変遷 (イ) 進化の仕組み (3) 生物の集団 個体群の構造と維持、生物群集と生態系について観察、実験などを通して探究し、生物を集団のレベルでとらえて生物と環境とのかかわりについて理解させ、自然界における生物集団についての見方や考え方を身に付けさせる。 ア. 個体群の構造と維持 (ア) 個体群の維持と適応 (イ) 物質生産と植物の生活 イ. 生物群集と生態系 (ア) 生物群集の維持と変化 (イ) 生態系とその平衡 (4) 課題研究 生物についての発展的、継続的な課題を設定し、観察、実験などを通して研究を行い、生物学的に探究する方法や問題解決の能力を身に付けさせる。 ア. 特定の生物や生物現象に関する研究 イ. 自然環境についての調査 3. 内容の取扱い (1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。 ア. 「生物I」との関連を考慮しながら、生物学の基本的な概念の形成を図るとともに、生物学的に探究する方法の習得を通して、科学的な思考力、判断力及び表現力を育成すること。 イ. 内容の(1)から(4)までのうち、(1)及び(4)についてはすべての生徒に履修させること。(2)及び(3)については生徒の興味・関心等に応じていずれかを選択することができること。 ウ. 内容の(4)については、ア及びイの中から一つ以上の適当な課題を設けて適切な時期に研究を行うものとし、創意ある研究報告書の作成や研究発表を行わせること。研究を行うに当たっては、課題や仮説の設定、実験の計画、情報の収集、対照実験、調査、測定、数的処理、分類、データの解釈、推論など探究の方法を習得させること。その際、解決すべき課題についての情報の収集・検索、結果の集計・処理などに、適宜コンピュータなどを活用させること。 (2) 内容の範囲や程度については、次の事項に配慮するものとする。 ア. 内容の(1)のアの(ア)については、代謝を理解するために必要な最小限の化学の基礎知識に触れること。(イ)については、同化と異化の例として光合成や呼吸などの仕組みを扱うが、反応系の物質の羅列的な扱いはしないこと。(ウ)については、免疫や筋収縮、細胞間情報伝達などをタンパク質の機能の観点から平易に扱うこと。イの(ア)については、遺伝情報、遺伝子の複製、タンパク質の合成などを核酸の構造に基づいて平易に扱うこと。その際、DNAやRNAの分子構造は、模式的に示す程度にとどめること。(イ)については、形質発現の調節、細胞の分化や形態形成の仕組みの初歩的な事項を扱うこと。(ウ)については、遺伝子操作や細胞融合などの例を通して平易に扱うこと。 イ. 内容の(2)のアの(ア)については、分類の基準を理解する上で必要な程度にとどめ、各分類群の羅列的な扱いはしないこと。(イ)については、多様な生物が存在することについて、それらの系統関係を探究的に考察する過程を重視して扱うこと。イの(ア)については、生命の起源及び進化の過程の概要を扱うこと。(イ)については、生物の変異、進化の証拠やその要因などを扱うが、集団遺伝については初歩的な事項にとどめること。進化説については代表的なものを中心に扱うこと。 ウ. 内容の(3)のアの(ア)については、個体群の成長の様式や個体群が様々な環境に適応して維持される仕組みなどについて、基本的な事項を中心に平易に扱うこと。(イ)については、光合成による植物の物質生産と植物の形態や生活との関連などを、代表的な例を通して扱うこと。イの(ア)については、生物群集内での個体群間の相互作用、植物群落の遷移や生態分布などを扱うこと。(イ)については、食物網や物質循環・エネルギーの流れなどについてそれぞれ代表的な例を通して扱うこと。環境の保全については、羅列的な扱いはしないこと。 エ. 内容の(4)については、内容の(1)から(3)まで及び「生物I」と関連させて扱うこと。イについては、野外の生物に関する調査・研究などを行うこと。