オオイヌノフグリの「フグリ」は陰嚢(きんたま)のことだから、「大きな犬の陰嚢」あるいは「犬の大きな陰嚢」という意味に取れる。しかし、本当はそうではなく、「大きなイヌノフグリ」で、イヌノフグリに似てより大型の花を持つ植物、という意味と考えられる。オオイヌノフグリの果実は、わざわざ陰嚢に喩えたくなるほど似てはいない。
オオイヌノフグリは「天人唐草」という優美な別名を持つ。山岸涼子氏の漫画「天人唐草」では、「オオイヌノフグリを天人唐草と呼ぶ」ことが「現実にある猥褻(わいせつ)なものを直視せずに避けて通る」姿勢の比喩として、冒頭と結末で使われている。
VFC花物語・おおいぬのふぐり (下岡加代子氏)