クロマツ
裸子植物の胞子葉の集まりは"cone"といい、ここでは「錐」と直訳している。錐には雌雄があるので、小胞子葉が集まった錐を花粉錐[pollen cone]/雄錐[male cone]/小胞子錐と呼び、大胞子葉が集まった錐を種子錐[seed cone]/雌錐[female cone]/大胞子錐と呼ぶ。
"cone"を「球果」と訳す方が一般的で、また、送受粉時の"cone"だけ「球花」と区別することもある。さらに、花粉錐を「雄花」、種子錐を「雌花」と呼ぶこともある。
送粉期
クロマツ雌生殖器官(種子錐)は長くのびたシュートの先端に、雄生殖器官(花粉錐)は短いシュートの基部につく

クロマツ クロマツ
種子錐・花粉錐とも鱗片がらせん状につく。

クロマツ種子錐の鱗片は2枚重ねで、陰に胚珠がつく。

クロマツ クロマツ クロマツ クロマツ クロマツ
花粉には、2つの空気袋(気嚢)がついている。
種子錐(球果)
受粉半年後
クロマツ
受粉した年の夏の種子錐(球果)。鱗片は固く閉じている。
受粉1年後
クロマツ
受粉翌年の春

クロマツ
受粉翌年の夏

クロマツ
鱗片を剥がすと、羽根のある種子が2つ並んでいる。羽根の大部分は鱗片に由来する。
受粉1年半後
クロマツ クロマツ クロマツ クロマツ
受粉翌年の11月半ば~12月。種子錐の鱗片は緑色から褐色に変わり始め、一部が開く

クロマツ
鱗片が開くと種子が露出する。濃褐色の羽根が鱗片から剥げかけている。

クロマツ
種子。

クロマツ
12月中旬。種子錐の鱗片は明るい褐色。

クロマツ クロマツ
種子は残り少なくなり、落下した種子錐もある。古い種子錐との色の違いは一目瞭然。
受粉2年後
クロマツ
受粉から丸2年後。種子はほとんど残っていない。

クロマツ
雨で濡れると、鱗片はぴったりと閉じ、乾燥すると再び開く

クロマツ枝先の胚珠錐の下に昨年開花の種子錐、さらに下に一昨年開花の種子錐(種子散布後)が残る

クロマツ クロマツ クロマツ
鱗片は8列と5列のらせんを描く。
枝と葉
クロマツ
2枚の針葉が対生する短い枝(短枝)が枝にびっしりとつく。

クロマツ
クロマツ葉の横断面

クロマツ1細胞層の表皮の下に2細胞層の下皮があり、その内側の葉肉に樹脂道(細い繊維細胞で取り囲まれている)が散在する

クロマツ維管束。上半が木部、下半が篩部。右下は内皮。
クロマツ枝の切口から染み出す樹脂
クロマツロープによる損傷(?)のため、樹脂が流れ出した樹幹
クロマツ

クロマツ若木が堆砂で埋もれ、枝先だけが出ている

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