アジサイ類(ユキノシタ科|アジサイ科)
アジサイ
びっしりと並んだ飾り花(装飾花)をかき分けると、花弁が開き、雄しべ・雌しべが露出している花が隠れるように咲いている。有性生殖器官としては、こちらの方が「ふつう」の花(通常花)だ。
通常花
通常花は萼片・花びらが5、雄しべ10、雌しべ1(花柱3)。アジサイ属でもっともふつうに見られる構成。
装飾花
装飾花。通常花と比較すると、装飾花の弁化した(花びら状になった)部分は、萼片が巨大化したものだと分かる。萼片・花びらは3~4で、雄しべ6~8、雌しべ1(花柱2~3)。萼片は大きいが、花びら・雄しべ・雌しべは通常花より小さい。花びらは、品種にもよるが、開かないままのことが多い。
装飾花では通常花と比べて、次のような違いがある。
-
萼片・花びら・雄しべ・花柱の減数
-
花びら・雄しべ・雌しべの発達不全(花びらが開かない、など)
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萼片の弁化
アジサイは、野生種(ガクアジサイ)から、装飾花がより多く萼片がより大きくなる系統を育種・選抜して作り出された園芸品種だ。
通常花と装飾花の中間型の花
上の違いの一部だけが見られるもの。
花柱の減数(3→2)のみ
萼片・花びら・雄しべ・花柱がすべて減数
萼片の1つが弱い弁化を示すもの
萼片の不完全な弁化と萼片・花びら・雄しべ・花柱の減数の組み合わせ
このアジサイでは、弁化・開花・部品数が下のようになっていた。
|
萼片の弁化 |
花びら |
萼片・花びらの数 |
雄しべの数 |
花柱の数 |
通常花 |
- |
開く |
5 |
8~10 |
3 |
中間型の花 |
一部~全て、不完全 |
開く |
3~5 |
6~10 |
2~3 |
装飾花 |
全て・著しい |
閉じたまま |
3~4 |
6~8 |
2 |
ガクアジサイ
各地で栽培されるとともにアジサイの原種となった。
アジサイとガクアジサイを総称してアジサイということもある。さらに範囲を広げてアジサイ=アジサイ属全体の総称とすることもある。
アジサイと一緒に植えられることも多い
ノリウツギ
装飾花に囲まれるように花が円錐形に密集する。
花序の枝の1つを拡大したところ。突き出した先端に装飾花がつき、基部近くで枝分かれしてたくさんの通常花をつける。通常花が咲いているときには装飾花は上を向いている。
通常花が咲き終わると、装飾花は下を向く。
コガクウツギ
周辺1~3個の装飾花は3数性で、3枚の萼片が大きくなる。また、3枚のうち、花序の外側に位置するものは、他の2枚より大きい。通常花は5数性で萼片が小さい。
通常花
装飾花の中心部
中間的な花もときどき見られる
ヒメウラナミジャノメの吸蜜
果実
ガクウツギ
装飾花の中心部
通常花
コアジサイ
装飾花がない
クサアジサイ
ヤマアジサイ
アマチャ(園芸品)
エゾアジサイ
タマアジサイ
ツルアジサイ
イワガラミ
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