茎頂周辺での葉原基の規則的な配置は、茎が伸びてからも葉の付き方の規則性に反映している。茎のまわりに葉がどのようにつくか(葉序[phyllotaxis])は、基本的には次の3つに分けられる。
3つのそれぞれは、葉と葉の角度に注目するとさらに細かく分けることができる。
輪生は1節につく数で「×輪生」のように呼ばれる。キョウチクトウの例のように、隣り合う節どうしでは、葉の付き方は互い違いになる。
オランダミミナグサのように、対生葉序で対になる2枚の葉が茎を挟んで反対どうしになり、次の対は前の対と90°の角度を作ってつくと、真上から見て十字形になるので「十字対生」と呼ぶ。
ウラジロチチコグサ(キク科): 互生・2/5葉序の例互生葉序では葉の付け根を線で結ぶと茎に螺旋(らせん)を描くことができるが、螺旋が前の葉から次の葉の間に茎の周りをどれくらい回り込むかがおおよそ決まっていることがある。ウラジロチチコグサでは、次の葉までに茎を2/5周(2/5×360°=144°)するので、「2/5葉序」と呼ばれる。図のように葉に下から番号を振ると、6番の葉は茎をちょうど2周して1番の葉の上にくる(茎のねじれによってずれることはある)。
2/5葉序は、ごくふつうに見られ、茎を真上から見ると、葉は、茎のねじれを度外視すれば、72°ずつ角度を置いた5つの列をつくる。葉に下から順に番号を振ると、N番の葉のほぼ真上に(N+5)番の葉が位置する。
隣り合う葉が約180°の角度を取り、葉や腋芽が平面的に縦2列に並ぶ互生葉序を「二列縦生」と呼ぶ。単子葉植物に多く見られる。
→ 葉の空間配置
葉序は、葉の基部の配置に注目した分類だ。しかし、光合成をするという葉の役割の面から見ると、葉の空間配置=葉身面が空間にどのように配置されるかの方が重要になる。1本の枝に多数の葉を付けた方がたくさんの光を受けられるが、葉と葉の重なり合いがあまり多いと、下の方にある葉には上方の葉を透過した光しか当たらなくなるので、効率が悪くなる。
ヘラノキ・トベラ・ミズキとも、多数の葉が少ししか重なり合わずに並んでいるだけでなく、使える空間を効率的に使って葉を配置している。詳しく見ると、ヘラノキでは、
の3つの特徴が寄与している。トベラでは、
の2つの特徴が寄与している。また、ミズキでは、
3種の樹木は、やり方は大きく違うが、葉のつきかたと葉形の2つの組み合わせで効率的な空間利用をしている。
短枝は節間が極端に短いシュートで、直立して葉を放射状につけることが多い。短枝は節間が長く横か斜めに伸びるシュート(長枝)につく。イチョウ(イチョウ科)・アオハダ(モチノキ科)・カツラ(カツラ科)など、多数の樹木で見られる。
アオハダのように短枝と長枝の区別がはっきりとした樹木では、長枝に多数の短枝がつくため、葉のほとんどは短枝の葉ということになるので、光合成の多くを短枝が担い、長枝は短枝どうしの間隔を空けるという分担がなり立っている。
主軸の頂端が(1)頂芽が脱落する、(2)花序となる、(3)短枝となるなど、さまざまな原因で伸長を停止(または半停止)し、頂端の下の側芽から伸びた側枝が代わって伸長する成長様式を仮軸成長[sympodial growth]という。仮軸成長の場合、単一のシュートが伸び続けることはなく、伸長するシュートが次々と(典型的には1成長期で)交代するため、シュート系は「折れ線状」になる。