教育研究

福岡の教育に寄与するために、様々な教育研究に取り組んでいます。

1.学校主題研究(平成29年度~31年度)

学びを創造し続ける授業づくり
~教授・学習過程の再構築を通して~
 

 これからの社会は,生産年齢人口の減少,グローバル化の進展や絶え間ない技術革新等により,社会構造や雇用環境は大きく,また急速に変化していくと考えられています。そのため,一人一人が持続可能な社会の担い手として,その多様性を原動力とし,質的な豊かさを伴った個人と社会の成長につながる新たな価値を生み出していかなければなりません。さらに,新中学校学習指導要領解説総則編には,授業改善の推進として,これからの時代に求められる資質・能力を身に付け,生涯にわたって能動的に学び続けることができるようにすると書き表されています。以上のことから,本校では,めざす生徒像(「大樹モデル」)を設定し,この実現に向け,【表1】のように,教科の特性を考慮して設定した生徒像に対して,各教科の実践からボトムアップ的なアプローチによる本研究の検証を試みることとしました。
 
本校のめざす生徒像「大樹モデル」
 直面するさまざまな課題に対して,いくつかの条件を状況によって判断し,その解決に向けてどのように応答すべきかを自他に問い,道具を使いこなしながら,最適解を導くために自らかかわり続けようとする。

 
【表1】各教科でめざす生徒像
教科 めざす生徒像
国語科 「人とは違う考え」「人とは違うやり方」などの発想を元に,独自の観点で他者を評価する目をもち,教師と共に評価を練り上げ,言葉にすることで,これまでにない考えを生み出そうとする。
社会科 社会問題にかかわる対話を通じて,社会的事象の意義を批判的に問い直し,根拠に基づいて共同体にとってより承認可能な社会的事象の意義を再構築し続けようとする。
数学科 直面した課題に対して「なぜ?」という疑問をもち,疑問を追究していく過程で新たな概念,原理や法則などを明らかにし,物事の本質を捉えようとする。
理科 自然の事物・事象や社会で直面する様々な課題に対して,科学的な知識や方略を基に試行錯誤しながら最適解を導くために,自己の学びを振り返り,自ら関わり続けようとする。
音楽科 社会的・文化的な生活に向けて,多様な音や音楽から本質的なよさや特質を知覚・感受し,知性や感性を働かせ,内在される美的な価値に能動的・協働的・創造的にアプローチすることで,自分なりの意味や価値を見出し,より「ふさわしい」ものを追究し続けることができる。
美術科 表現及び鑑賞のあらゆる活動場面で,他者とのかかわり合いを通し,自分の造形的な見方・考え方について常に見つめ直し,それらを働かせて,豊かに創造し続けようとする。
保健体育科 運動・スポーツへの愛好的態度を高め,日常生活において自己の身体の状況や環境に応じて運動・スポーツとのよりよい関わり方を模索し続けようとする。
技術科 生活や社会で利用されている技術について,問題を見いだし,解決するにあたり,社会,環境,経済などの側面を踏まえつつ,技術が最適なものとなるように考察しようとする。
家庭科 家族・家庭や地域における生活について様々な視点で自ら振り返ることで,生活の中にある問題を発見し,その問題に対して衣食住や人との関わりに関する知識・基礎技術をもとに最適解を選択し,他と協働しながら解決していくことで,より豊かな生活を追い求めようとする。
外国語科 単元で設定される学習課題に取り組むことを通して,自分の意見や考え方をわかりやすく伝えることができるようになるために,級友とその方法について話し合い,言語材料を適切に活用し,聞き手に応じて伝え方を工夫し続けることができる。

 前研究においては,「Instruction」と「Learning」という2つのアクティブラーニング型授業を開発しました。しかし,一般的に,教授パラダイムが,教師主導による一方向的な授業スタイルを意味することから,教授パラダイムによる「Instruction」があたかも教え込みの授業スタイルであるという誤解を生んでいたため,本研究では「Instruction」と「Learning」の位置づけを整理し直しました。
 
 学びを創造し続ける生徒を育成する上で,学ぼうとする力を向上させることは必要不可欠です。そのため,単元や題材として,2つの授業スタイルを機能的に併用することだけではなく,単元の中や1単位授業の中で資質・能力をバランスよく向上させることによって,学びを創造し続ける生徒を育成することができるであろうと考えました。さらに,「Learning」は,生徒主導の授業であるため,学習過程を重視した授業スタイルとし,「Instruction」は,教授過程を重視した授業スタイルと捉え直しました。そして,本研究主題である「学びを創造し続ける」生徒像を真に求めるためには,教授と学習の相互作用の在り方について,学校のカリキュラムベースでの検討をはじめ各教科の単元構成や1単位時間に及ぶまでの授業設計を改めて生徒の立場に立って再吟味する必要があると考えました。これらのことを本研究では,「教授・学習過程の再構築」と呼びます。具体的には,生徒の実態把握,学習文脈づくり,課題設定の仕方,課題解決のプロセスなどにおける教授と学習の最適構成,発問や補助的な情報の有効性,対話の設定とそのタイミングの適切性,自らの学びの振り返りの設定などが含まれます。副主題に関する詳細は,【表2】の各教科の提案を参照して下さい。

【表2】各教科の副主題
教科 副主題
国語科 言葉を駆使したクリエイティブ評価を通して
社会科 「問い」をつなげる工夫を通して
数学科 効果的な問い直しを重視した学習過程を通して
理科 問い直しを位置づけた授業デザイン
音楽科 学びをつなぐ文脈づくりを通して
美術科 創造的思考の再活性化を促す学習過程を通して
保健体育科 動機づけのプロセスを中心とした学習過程の工夫を通して
技術科 課題設定とフィードバックを通して
家庭科 生活の中から問いを見いだす授業デザインを通して
外国語科 コミュニケーションの活性化を促す問いの工夫を通して
 

2.大学・三附属中学校共同研究

 
福岡教育大学には、附属福岡教育大学、附属小倉中学校、附属久留米中学校の3つの附属中学校があります。大学を含めた4者で各教科の教育研究を行っています。その成果は3年に1度、教育研究発表会の場で報告しています。教科ごとに研究主題を設定し、大学教授の支援を受けながら、三つの附属中学校で実践を行い、協議し、研究を進めます。
(平成29年度発表の各教科等の研究主題)

教科等 研究テーマおよび副題
国 語 科 自律的な学習者を育てる国語科学習指導法の研究
社 会 科 社会をつくる社会科学習指導法の研究
―現実に挑戦する学びを通して―
数 学 科 統合的・発展的に考える子どもを育てる数学科学習指導
―比較・分類・関連付けのさらなる充実を通して―
理   科 科学概念の本質的理解を目指した理科授業の構想
―アセスメントの充実に向けて―
音 楽 科 表現領域「器楽」における知識・技能習得の
意味や価値の実感を促す音楽科学習指導法
―身体知を獲得する学びを通してー
美 術 科 創造的思考力を育む美術科学習指導
-感覚を通して思考を深める学習過程の創造-
保健体育科 課題発見力と解決力を育む保健体育科学習指導法の研究
―思考と試行の往還を促す学習過程の工夫を通して―
技術・家庭科(技術) 学びのプロセスを重視した技術・ものづくり教育
―生徒のアクティブラーニングを位置づけた
学習内容・方法・形態の提案-
技術・家庭科(家庭) 生活を主体的に創造する力を育む家庭科授業の研究
―生徒とのルーブリックの共有を通して―
外国語科 目的に応じた「やりとり」する力を育てる
英語科学習指導法の研究
―小学校外国語活動の学びを深める言語活動を通して―
学校保健 「見える化」することによって考えるこれからの健康教育
特別支援教育 自らの役割を果たす生徒の育成
―活動と活動をつなぐまとめの工夫を通して―


3.特別支援教育研究

 
本校では特別支援学級において特別支援教育の研究も行っています。詳しくは「特別支援教育」のページをご覧ください。
 
 

4.教科外領域の研究

総合的な学習の時間、特別の教科道徳
「特別の教科道徳」の実施に向け、道徳の時間のあり方について校内研究会授業と協議会で研鑽を積んでいます。
 
平成20年度~22年度は文科省の研究開発指定をうけ、教育課程の研究を行いました。その際「総合的な学習の時間」についても研究し、現在の「フロンティアタイム」「言いたか放談」を確立しました。その後も改善を重ね、平成27年度には日本生活科・総合的学習教育学会第24回全国大会(福岡大会)にて実践発表を行いました。

 

5.心のバリアフリー(学校における交流及び共同学習を通じた障がい者理解)推進事業

文部科学省からの委託事業で,平成29年度は,学校における交流及び共同学習を通じた障がい者理解(心のバリアフリー)推進事業を行っています。
今年度は外部より講演に来ていただいています。
次回の講演会の詳細は以下のファイルをご覧下さい。
講演会のお知らせ(案内).pdf
 


研究史


昭和43年 4月 研究実践開始  「教科教育研究の理論と実践」
昭和45年11月 研究発表会(大学・附属中共同研究 1次)
昭和52年 6月 研究発表会「形成的評価による授業改造」
昭和53年 4月 出      版「形成的評価による授業改造」8版(絶版)
昭和55年10月 研究発表会「情意面を重視した教授・学習過程」
昭和57年 2月 出      版「情意面の評価を生かした授業設計」4版(絶版)
昭和59年 9月 研究発表会「『個のよさ』を伸ばす授業の創造」
昭和60年 5月 出      版「『個のよさ』を伸ばす授業の展開」2版(絶版)
昭和61年10月 研究発表会「『個のよさ』を伸ばす授業の創造」
          ―『よさ』を意識した自己目標の設定と評価活動のあり方―
平成 元年 9月 研究発表会「自己を創る学習活動の展開」
          ―個に応じる教科学習と『自己学習』を場として―
平成 3年 4月 出      版「自己を創る選択学習の展開」初版
平成 4年11月 研究発表会「自己を創る学習活動の展開」
          ―選択学習における手だてと評価のあり方―
平成 6年 9月 研究発表会「新しい学力観に基づく指導のあり方」
          ―「観点別学習状況の評価」の実際―
                          ※各教科のカリキュラム及び観点別評価基準表とフロッピーを作成
平成 7年11月 研究発表会「教科の今日的課題に視点をあてた学習指導」
平成10年 6月 出   版「豊かな人間性を育む総合学習の実践」6版
平成12年11月 研究発表会「豊かに「生きる力」を育む教育課程の創造」
              ―総合的な学習の充実と教科学習の改善を通して―
平成13年11月 研究発表会「豊かに「生きる力」を育む教育課程の創造」
          ―主体的な学習活動を促す評価活動を通して―
平成14年 9月 研究発表会(大学・附属中共同研究 13次)
平成15年10月 研究発表会「学ぶ力」を育む教科学習の創造
          ―SECIモデルを意識した学習活動の工夫―
平成16年 9月 研究発表会「考える力」を伸ばす授業の創造
          ―SECIモデルを意識した学習活動の工夫―
平成17年 9月 研究発表会(大学・附属中共同研究 14次)
平成18年 9月 研究発表会 豊かに生きるためのリテラシー獲得をめざして
          ―基礎・基本の転移を促す学びの文脈づくり―
平成19年 9月 研究発表会 豊かに生きるためのリテラシー獲得をめざして
          ―基礎・基本の転移を促す学びの文脈づくり―
平成20年 9月 研究発表会(大学・附属中共同研究 15次)
平成21年11月 研究発表会「豊かに生きるためのリテラシー獲得をめざした教育課程に関する研究開発」
           ※文部科学省 教育研究開発学校指定(平成20~)
平成22年 9月 研究発表会「豊かに生きるためのリテラシー獲得をめざした教育課程に関する研究開発」
             ※文部科学省 教育研究開発学校指定
平成23年11月 研究発表会(大学・附属中共同研究 16次)
平成24年 9月 研究発表会 豊かに生きるためのリテラシー獲得をめざして
          ―教科を学ぶ意味や価値を問い直す『活用型の授業』デザインー
平成25年 9月 研究発表会 豊かに生きるためのリテラシー獲得をめざして
          ―教科を学ぶ意味や価値を問い直す『活用型の学び』を通して―
平成26年11月 研究発表会(大学・附属中共同研究 17次)
平成27年 9月 研究発表会 「21世紀型の学びを実現する授業づくり」
          ―アクティブラーニングを促す学習・教授パラダイム―
平成28年11月 研究発表会 「21世紀型の学びを実現する授業づくり」
          ―アクティブラーニングを促す学習・教授パラダイム―
平成29年11月 研究発表会(大学・附属中共同研究 18次)