若年層教育キャリアモチベーション

研究内容

事業の趣旨と概要

【目的】

今次の教育政策課題である「若年層教員」を対象とするキャリアモチベーションのメカニズム解明と,それを基盤として持続成長が可能なキャリアモチベーション支援システムを開発する。


【必要性・重要性】

教員の年齢不均衡がもたらす学校内の指導体制の脆弱化や教員の職階構造の変容及び急速に変容する学校内外環境や利害関係者への対応・適応能力のために,若年層教員の離職傾向は続いている。このような状況の改善のために養成段階から若年層教員のモチベーションを高める新たな支援プログラムの開発が必要である。


【取組内容の概要】

若年層教員と中堅層教員へのモチベーションの向上を目指す支援システムを開発する。 @ 教職大学院で行われている実習で展開される中堅層教員である大学院生と若年層である大学院生の指導場面の分析を行い,若年層が抱える課題と効果的な指導についての知見を抽出し,プログラムの作成と改善を行う。 A 福岡教育大学教職大学院におけるプログラムの実施を行う。 B ホームページ及び報告書により,プログラム実施や本事業の活動成果を発信し、学外でも本事業の知見を共有・活用できるようにする。


【期待される効果】

教職大学院の実習から若年教員の教職での課題と効果的な指導のデータ蓄積が可能であり、そこから開発した教員の雇用安定化をもたらす統合的キャリアデザインを、事業終了時、近隣の都道府県・市町村教育委員会に提案することができる。

事業の名称

本事業の名称を、「若年層教員キャリアモチベーション支援システム開発事業」とする。



事業の研究についての概要

 本事業では、2つの研究を主な軸として進める。

@研究A:「若年層教員・中堅層教員のキャリアモチベーションのための資質・力量に関する調査研究」について(教職大学院の院生を中心とした現職教員を対象とする研究)
 他の職業と同様に、教員もキャリアステージによって必要とする課題が異なることが様々な研究で指摘されている。研究Aでは、特に若年層教員が直面する課題や必要とするサポートの内容などについて検討し、効果的な支援方法を提案する。これにより、若年層教員のモチベーション低下を防ぐだけでなく、自発的なキャリアアップのための活動促進や能力向上につながることが期待される。また、若年層教員に対するサポート(メンタリングなど)を行う中堅層・ベテラン教員の側のキャリアモチベーションについても考察を行う。

A研究B:「在学生・卒業生のキャリア形成のプロセスに関する調査研究」について(学部学生と卒業生を対象とする研究)
 教員としての基礎的なスキルやポジティブな教員イメージの形成には、学部における教員養成のカリキュラムが大きく関わっていると考えられる。研究Bでは、学部における教員養成カリキュラムにおける実態と課題を明らかにする。また、いずれのキャリアステージにおいても重要な能力である授業力や学級づくり、教材教具の活用や教室環境整備に関するより近年のニーズに即した具体的なスキルの解明を行う。これにより、近年のニーズに即した基本的な技能・能力(授業力・学級づくりなど)を確実に育成するためのカリキュラムづくりの提案を目標とする。

研究の概要と位置づけ


〈関連用語解説〉
・教師のキャリアモチベーション:本事業では、「教師が学校現場で、意欲的、自律的、かつ心身共に健康に職務に取り組む過程」と定義する。
・メンタリング:メンター(その仕事の分野などで先んじている人など)がメンティ(新たに入ってくる人など)に、より効果的に目標とする活動をするのを支援し、職業のキャリアアップなどにつながる行為・行動を導くことを意味している(小柳,2009)。
・コーチング:アセスメント・発見・内省・目標設定・方略的行動を通じて、クライエント(援助を受ける人)が将来的な目標を見出し達成していくための援助を行うことによって、コーチ(援助を行う人)がクライエントの学習を、サポートし、協働し、促進していく1対1の関係(Bennet, 2006)。
・サポートネットワーク:本事業では、インフォーマルなメンタリングやソーシャルサポート(悩みを聞くなどの情緒的な支援やアドバイスをするなどの道具的な支援)を含む様々な支援に関わる対人的なネットワークと定義する。



3年間の事業計画

本事業の3年間の事業計画は、以下の通りである。


(1) 平成22年度 理論研究および福岡教育大学学部・大学院在学生と卒業生を対象にした調査

22年度内の中心的活動
【目的】
(1) 若年層教員・中堅層教員のキャリアモチベーションのための資質・力量に関する調査研究を行う
(2) 在学生・卒業生のキャリア形成のプロセスに関する調査研究を行う
(3) 若年層教員のキャリアモチベーションの基礎的な資料を収集する
【計画】
・年度内の調査計画(対象・実施期間)の決定・連携体制の構築
【実施】
・教員養成・現職研修に関する予備的調査
・在学生・卒業生のキャリア形成プロセスに関する調査研究
【評価】
・調査結果の分析
【改善】
・報告書の作成・ホームページの作成による成果公開


(2) 平成23年度 教職大学院院生への「キャリアモチベーション支援研修プログラム」の開発と試行

23年度内の中心的活動
【目的】
(1) 若年層教員・中堅層教員のキャリアモチベーションのための資質・力量を解明する
(2) 要因分析及び事例研究での掘り下げと若年層教員の教職への意欲を高める教員研修プログラムを開発し試行する
(3) 教職大学院における試行版を実施し、改善する
【計画】
・年度内の調査計画(対象・実施期間)の決定・連携体制の構築
【実施】
・前年度調査結果に基づくプログラム開発
・福岡教育大学教職大学院におけるプログラムの施行
【評価】
・プログラムの成果検証
【改善】
・報告書の作成・ホームページの作成による成果公開


(3)平成24年度 福岡教育大学学部生への「キャリアモチベーション支援研修プログラム」の拡大

24年度内の中心的活動
【目的】
(1) 福岡教育大学におけるキャリアモチベーション支援体制の構築と研修プログラムの改善を行う
(2) 研究成果の成果報告を行う
【計画】
・年度内の調査計画(対象・実施期間)の決定・連携体制の構築
【実施】
・現職教育におけるプログラムの導入・実施
【評価】
・プログラムの成果検証
【改善】
・報告書の作成・ホームページの作成による成果公開