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「ミッション再定義」を大学改革にどう生かすか ―選択と集中の視点のもと大学改革を進め、義務教育諸学校の教員養成を行う広域拠点大学へ―        

「ミッション再定義」を大学改革にどう生かすか ―選択と集中の視点のもと大学改革を進め、義務教育諸学校の教員養成を行う広域拠点大学へ―        

1.地域の要請をどう受け止め、大学改革に生かして行くか

SYNAPSE Vol.38 10月号表紙SYNAPSE Vol.38 10月号表紙

 平成24・25年度にかけて行われた国立大学のミッション再定義は、本学にとって、大学改革を大きく前進させる転機となった。なぜなら、卒業者の教員就職率が低迷し、留年者も多く、改善が強く求められていたからである。
 私は、学長になって機会ある毎にこれらの課題解決を訴えてきた。だが、就職率の向上や留年者の低減が大学及び大学教員の責務として理解されるのは容易ではなかった。それらを学生の自助努力と見なす傾向があり、大学とは高度な学術研究の成果を教授するところであるという従前の大学観が、多くの教職員の頭の中を占めていたからである。
 だが、これでは変わりようがない。そこで学長就任1年後の平成23年の春に改革したのが卒業式・入学式での国歌斉唱である。改正教育基本法をはじめとする関連法規と学習指導要領を踏まえて、学校現場で児童生徒を指導する本学卒業者に敬意を表し、本学の社会的な立ち位置を明確にするために行った。また、キャリア支援センターの建物を新築し、事務職員の配置に加えて本学OG・OBを複数名、アドバイザーに採用した。ここを中心に教員採用試験のための特別講座の時期と内容を見直し、各県の就職動向の分析や企業等への就職相談、各講座の大学教員との連絡体制を強化した。そうした取組で、平成24年3月卒業者では全国平均を0.5ポイント上回る71.3%まで教員就職率を引き上げることができた。その後平成25年度には教育研究評議会で教員就職率を向上させる方策を策定した。以後、教員採用試験願書提出の申請率と合格率をその都度報告して、学生を教育して就職にまで導く責任を果たすよう大学教員に訴え続けている。
 これらの改革は、何れも地域からの要請に基づいて行ったものである。先の国歌斉唱も学長への提案制度の中で頂いた。また、教員就職率の向上は、後援会や同窓会の最大関心事であり、今も大学に強い要請が続いている。
 そうした中、平成24年度の大学運営方針で、「教育組織の見直し、教育内容の質向上、研究の質向上という三位一体の改革を推進する」ことを掲げた。教育組織の見直しとは、将来、教員や指導者になるという夢や希望をもって入学してきた学生の期待に応えるべく、現行の課程の下に置いた選修・専攻・コースの学生定員の適正規模化を行うものである。教育内容の質向上とは、教育実習の日程やボランティア活動の奨励を含む大学教育のカリキュラム改革を行い、確かな学士力や教師力を身に付けさせて“福教大ブランド”の形成に努めるという目的で授業科目の見直しと精選を行うものである。そして研究の質向上とは、学内の各センター等の研究機能の強化を目指してセンター等の統合を行い、センターに所属していた教員を関連講座に移籍し、改めて全学乗り入れ方式で新センターの要員を募るものである。その研究経費はプロジェクト方式で学内外に申請して獲得するというもので、要するに学内資源の選択と集中による再配置を行ったのである。
 この「三位一体改革」の開始は、ミッションの再定義を求められた時期と重なる。それ故、前述したように本学改革の転機となった。
 教育組織の見直しでは、学生定員48名を教員養成課程に移し、ゼロ免と呼ばれる本学生涯教育3課程の学生定員を102名に縮減した。カリキュラムの改革では、「ボランティア活動をしたいが、授業が詰まって出かける時間がない」という学生の声を受けて、授業科目と非常勤講師の削減を断行した。授業科目の開設は、教育職員免許法に定められた科目以外は専ら各講座に任されており、多くの科目が開設されていた。非常勤講師の任用も然りで、専門の専任教員がいない場合、それは学外に求められた。その結果、学生は多忙になり、非常勤講師任用に伴う人件費と交通費の総額は、大学教員の年間教育研究費総額の7割を超えるまで膨らんだ。これを年次計画で削減し、半分以下にするべくカリキュラム改革を行った。それによって削減できた財源は、教育研究高度化経費として、申請に基づく審査を経て学内に再配分し、教育研究の活性化に役立てている。センター等の統合は、平成25年度にはすべてのセンター付き大学教員を講座所属に移し替えて、全学方式の研究プロジェクトを立ち上げることができた。
 また、地域の更なる要請に応える取組として、平成25年7月、福岡県市町村教育委員会連絡協議会と連携協定を締結した。これにより県内60すべての市町村と教育研究に関する連携が可能になった。この強みを生かして、学力向上、英語活動や道徳教育活性化、学生ボランティア活動促進等の事業を展開することが今後の課題である。

2.教員養成における広域の拠点的役割の構築・強化にどう取り組むか

 平成25年12月、各国立大学のミッションが公表された。本学のミッション(使命)の骨子は、義務教育諸学校の教員養成を行う広域の拠点大学として、学校現場に通じた大学教員を今後30%に増やし、教育委員会の幹部職員等で構成する常設諮問会議を置き、意見交換を行うことにより、本学が養成する人材やカリキュラムなど更なる改善を行う。平成28年度から始まる第3期中期目標期間には学部卒業者の教員採用率85%を確保する。大学院修士課程修了者は85%、教職大学院(教職実践専攻)修了者では100%を確保する。生涯教育3課程については、本学に対する社会的要請に一層応えられるよう抜本的な見直しを行う。そして大学の社会貢献や附属学校を活用した創造的な教育・研究を強力に推進し、本学の強みや特色、その社会的役割を強化する、というものである。
 このように明言して公表されたミッションは、在学生や教職員との約束に留まらない。ステークホルダー(利害関係者)である国民との約束になった。本学のミッションが明確になった現在、国がいう改革加速期間に倣って、私は第2期中期目標・中期計画が終わる平成27年度までを“集中改革期間”と呼び、大学ガバナンスの改革(大学統治における権限と責任の明確化)にも一層取り組むと宣言した。そして平成26年度の大学運営方針では、先の三位一体改革に続く「新・三位一体改革」として、「学生の資質能力を高める魅力あるカリキュラム改革と“福教大ブランド”の定着」「大学院の抜本改革と広域拠点大学にふさわしい体制整備」「国際感覚をもち、社会貢献活動や自らの職能成長に勤しむ教職員の就業環境の整備」を掲げて、集中改革に着手した。以下、ミッションの概要が固まった昨年秋からの改革について、大学ガバナンスの改革も含めて述べる。
 まず、大学改革の意志を集中させるために、改革に関する原案作成は学長や理事・副学長、大学院教育学研究科長や教育学部長等の役職者で構成する部局長会議で行うよう改めた。必要に応じて教授会で意見聴取するが、基本は経営協議会と教育研究評議会で審議し、役員会決定することを徹底した。学部教授会の下に置いた委員会も、役職者が委員長を務めるよう学内規定を改めた。役職者もすべて学長指名にした。これらの事項は、大学業務の責任ある遂行のために極めて重要である。平成26年6月に成立した学校教育法と国立大学法人法の一部改正を、迅速で合理的な意思決定を可能にする大学改革の追い風とすべきである。
 広域の拠点大学としての役割の構築・強化については、前述の部局長会議で鋭意、検討を重ねてきたところである。その中身は今後、文部科学省との協議を経なければならないが、一口に言えば、九州地区と全国及び海外協定校を視野に入れて、確かで高度な教員養成を行う教育大学に作り替えるというものである。
 そのためには、これまで生涯教育3課程が担っていた機能を、教員養成を側面から強化する機能に転化する再度の教育組織の見直しを行う必要がある。近年の少子化の影響で、教員養成の縮減を考慮することは免れないが、教員大量採用の傾向が幾つかの県で見られることから、この機会に従前の教員養成を凌駕する改革を実行したいと考えている。
 その方策の1つは、大学教員組織である各講座がそのまま選修・専攻等の学生教育組織となる縦割り組織を見直して新たな組織を設けるというものである。これを初等教育教員養成課程に導入する。新組織の名称は、「教職教育院」とする。そこの大学教員は、学内外から改革のために頑張ってくれる人を募る。入試も選修毎ではなく一括募集に改めて、入学後は4年間を通したクラス担任制を採り、将来、小学校教員になるために必要な専門知識や技能、職業倫理を楽しく徹底的に教えて、児童の教科学習はもちろんのこと、音楽の実技や理科の実験等も確実に指導できる、強靱な小学校教員を養成する。
 2つには、現在進行中のカリキュラム改革に、1年次での初年次教育や4年次まで置く教養教育の充実を盛り込んだ更なるカリキュラム改革を行う。教育実習も集中的に実施する工夫を行い、附属学校教員の指導に随伴しながら上手な教え方を学び取る方式に改めて、実習公害などと揶揄されることがないように真の教育実習に改革する。更に附属学校での教育実習経験に磨きをかける「教育総合インターンシップ実習」(2週間)を近隣の公立校で行う。そのための地元の教育委員会との連携協定は、これまでの社会貢献事業を通して十分培ってきた。その実績と信用を活用して進める。
 3つには、グローバル化対応と小学校英語の教科化を見据えて、初等教育教員養成課程の希望する学生全員に“話せる英語力”を強化する。これは今年度、「英語習得院」の名称で試行を開始した。これ以外にも海外協定校留学のためのTOEFL講座、マレーシアでの短期語学研修も開始した。何れも試行段階ではあるが、学生たちには好評である。
 4つには、中等教育教員養成課程では、数学や理科及び音楽・美術・書道・保健体育などの実技系の教員養成は本学が九州地区で一手に担う決意で臨み、複数教科の教員免許状取得を基本とするよう改革する。将来、小規模校への勤務が増えることへの準備、同僚との協働性を高めて強靱な実践力をもった教員を養成するためである。そのことは、総合的な学習の時間の指導力強化にも好影響を与えるものとなろう。
 5つには、特別支援教育教員養成課程において、初等・中等の区分を設け、とりわけ要望の強い中等教育段階での特別支援教育が実践できる教員を計画的に養成し、輩出する。
 6つには、これらの学部教育の抜本改革を推進しつつ、大学院教育を格段に充実させる。既存の修士課程では、コースの大括り化と再編の上に、実践的指導力を高めるための授業科目や学部4年生から大学院授業科目の履修を可能にする措置の導入、現職教員向けの1年課程を実現したいと考えている。加えて、次項で述べる教職大学院との棲み分けを図りながら、大学院博士課程の設置を展望している。真の実践力の上に、強靱な教師力の育成に繋がる研究力を高めて、広域拠点大学として陣容を整えたい。
 以上に述べたことのうち、特に1、4、5、6の事項は、ミッションで約束した本学の教員養成機能を強化するために立ち上げた「教員養成の質向上に関する諮問会議」から、答申に向けた中間報告として、平成26年7月に学長宛に頂いたものを反映させている。今後とも諮問会議における議論を踏まえて、これらの方策を詰めていきたい。

3.その中で教職大学院はどんな役割を果たしていくか

 本学の教職大学院は、大学院教育学研究科の中に「教職実践専攻」として置いている。平成21年度に創設し、今年度末には第5回目の修了生が出る。学部卒業生と社会人対象の教育実践力開発コースと現職教員対象のリーダーコースは、入学定員10名ずつの1学年合計20名である。修士論文の作成に代わる「まとめプレゼンテーション」では、実践事例を通した分析と考察を徹底させている。修了者の評判は極めて良好である。だが、人数規模があまりにも少ない。これを今後2倍と言わず、3倍、4倍、5倍に増やす必要性を感じている。
 しかし、それはすぐには出来ないことから、まず平成28年度から、教育実践力開発コース及び現職教員対象の生徒指導・教育相談と学校運営リーダーコースにおいて、入学定員を2倍程度に拡充する予定である。併せて教職大学院を魅力的なものとするために、学校運営やいじめ・不登校等の現代的諸課題の解決に資する新規の授業科目を採り入れたカリキュラム改革を行う。また、教職大学院が県の教育センターと合同で行う研修講座の受講を教職大学院の修得単位に読み替える可能性や、在学中に教員採用試験に合格した者の採用候補者名簿登載期間の延長措置の在り方も探っていきたい。
 こうした方策で教職大学院も格段に強化する。特に入学希望者の確保については、学部卒業生の進学を促したい。いくつも免許が取れるから入学するとか、教員採用試験に落ちたから大学院に進学するといった考え方は、もはや通用しない。「希望する校種の教員になる力が身に付くから本学を選んだ」「学部教育で培った確かな実践力に磨きをかけて、研究力を伸ばしたいから大学院に進学する」という前向きで意欲的な志をもつ学生が集まる大学院にしたいと考えている。ついては、本学の更なる改革にご期待頂きたい。

 

 

ジ・アース教育新社
SYNAPSE(シナプス)Vol.38  p.26-p.29 掲載原稿

※この記事は、出版社の許可を得て掲載しております。

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