植生・景観写真集(鹿と植生)
2007~2011年、いずれも9月初めにえびの高原で撮影
シカの食害圧が高い場所では、草丈は刈り込んだ芝生のように低く、樹木の低い枝は葉や芽を食われて枯れ、独特の樹形となる。もっと低い木は枯死してしまっただろうし、次世代の更新はほぼ不可能と思われる。
スズタケやぶに見られるシカの食害。写真下の方の溝(雨のときに水が流れる)がシカの通り道となり、溝に沿って食害にあう。いったん食害にあって上の方が食べられたスズタケは新芽や新葉の位置が下がり、さらに食べられやすくなる。その結果、スズタケやぶは、まるで機械で刈り込まれたかのように削られていく。スズタケが消失した後はイネ科草本やヒメチドメ、ヒメミヤマスミレなどの低い草地になり、背が低いツクシアザミ・バライチゴが点々と生える。
シカが繰り返して葉を食べたことによって枯死したスズタケのやぶ
シカの食害を強く受けたアカマツ・ミズナラ林(上)と影響が弱いアカマツ・ミズナラ林(下)
シカの食害を強く受けたミズナラ林(上)と影響が弱いミズナラ林(下)
シカが食べつくした感のあるアカマツ・ミズナラ林の林床。シキミだけが点々と残っている。
ツクシアザミ(キク科)。鹿の食害が弱いところでは、左のように背が高くなる。食害が強いところでは、下のような低い円錐型の草姿になりながらも、鋭いトゲで茎頂を守り枯死を免れる(回りに多い小さな草はヒメチドメ)。他の植物が減ったぶん株数は多くなる。
バライチゴ(バラ科)も低いロゼット状になりつつ、トゲで食害をやわらげ、株数は多くなる植物の1つ
ツクシコウモリソウ(キク科)。おそらく化学物質によってシカに食べられない植物。ただ、2009年には少数の株で食害の痕が見つかった。
シカに食物を与えないよう訴える標識
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